(発表会報告)
テーマ 『広島市域居宅介護支援事業者協議会事例発表会』
発表内容  平成16年12月18日(土)、広島国際会場において広島市域居宅介護支援事業者協議会事例発表会が開催されました。
 開会にあたり、同協議会 落久保裕之会長、広島市社会局介護保険課 佐々木政弘課長から『事例を通しての研鑚が大切である』と挨拶がありました。
 続いて、立正大学社会福祉学部助教授 國光登志子先生から『利用者主体のケアプランとは』のご講演を戴きました。
 講演のなかで國光先生は、次のようにわかり易くご指導くださいました。

「利用者本位から利用者主体へ転換すべきで生き方の中に自分の思いをどれだけ組み入れられるか、要介護度の改善だけでなく、その環境の中でどう生きたいか検証することが大切である。
実態把握のとき、元気なときどうであったか、今は出来なくて不便があるか、サービス利用でどのように変化すると期待できるか示して、本人・家族と確認し合う。
課題、短期目標は文字拡大して利用者の枕元などに置きいつも目にする事でポジティブシンキングが出来るようになってくる。
計画があって援助が出来るべきで、利用者が票Tのニーズを書き替えてほしいと言われるようであれば、本人主体となる。」

 続いて8題の事例発表があり、利用者を取り巻く様々な関係者と連携を取り合い、利用者や家族の思いを組み入れてどのように支援を続けているかが簡潔に発表されました。
 講評の中で、群馬老人保健センター陽光苑の山田圭子先生と國光先生から、「行政も巻き込む、出来得ることをすべて洗い出して最適と思われるものをつなげる」など助言があり、「すばらしい事例発表会であった。今後に期待する」と激励のことばを戴きました。
 平成16年度事例発表会は、大変有意義なものとなりました。

 
(事例発表会アンケートまとめ)
問1 本日の講演はいかがでしたか。(回答者 124名)
1 大変参考になった 51名(41%) 2 参考になった 66名(53%)
3 ふつう 7名(6%)   4 あまり参考にならなかった 0名(0%)
5 全く参考にならなかった 0名(0%)    
問2 本日の事例発表はいかがでしたか。(回答者 123名)
1 大変参考になった 56名(46%) 2 参考になった 62名(50%)
3 ふつう 5名(4%)   4 あまり参考にならなかった 0名(0%)
5 全く参考にならなかった 0名(0%)    
本日の講演について(意見抜粋)
アセスメントの重要性、再認識しました。分かりやすくお話していただいたと思います。
内容的にはアセスメントの重要性がよく理解できてよかったが、一人一人の利用者に適用していくには、利用者の数が多すぎて時間が足りない。
ケアプランチェックポイントシートの具体例(利用者・家族・意見)、この問題、及び、課題における視点について大変理解し易いものであった。自事業所でも実践していきたい。
利用者主体のケアプランの意義がよく分かりました。プランからプランにつなぐ際のモニタリングの重要性や、ケアマネの力量がそこで問われる事が理解できました。
ケアプランチェックシートを活用することにより、利用者・家族各関係者が同じ気持ちを持ち、利用者の生き方と大切にしていくことができると思います。
少々早口の為、ついていけない部分が時としてありましたが、提供された資料についてはケアプラン作成の為に大変参考になるものではないかと思われます。持ち帰り、皆にシェア−させて頂きます。
ケアプランチェックポイントシートを使っているが、その意味・使い方について詳しく説明していただき参考になりました。又、サービスを先に提示するのではなく、利用者の困りごとの中から、どうすればそれが解決できるか共に考える中で、情報提供する、生活支援の中で家族の役割の受けとめなど、共感できました。
ケア−プランチェックポイントシート(1)、とても活用しやすく感じられた為、使っていきたいと思いました。
ポジティブなニーズのとらえ方が大切。利用者参加・利用者主体のケアプランが大切。他力本願になってはいけない。ケアプランが後追いになってはいけない−今後の反省。支援後追い記録が大切。介護者のアセスメントも大切。等・・大変参考になりました。
先生のいわれた、後追いプランになっているという言葉にドキッとしました。仕事におわれる毎日の中でどれだけ本人の意向をくみとりながら支援していけているのか、再度考えさせられる機会となりました。
國光先生の総評が的確でとてもわかり易かった。
各制度や、各サービス内容の知識の必要性を感じ、独りのケアマネの力では限りがあるため、各々の専門的な指導を受けながらプランをたてる必要性を感じた。
課題を利用者と具体的に決めて目標を作っていかないといけないことを再確認した。今までとはとかく押しつけになっていた。
支援専門員が必要と感じている事やアドバイスと、ご本人・ご家族の生き方、思いとのギャップをどのように埋めて行くか、期待可能性を持って協働して行く事の必要性についての講義がとても参考になりました。
現在の自分の仕事内容に照らし合わせながら聞かせていただいた。依然、利用者自身がサービスを利用することで主体的に生活している、という意識は持ててないように思う。
具体例で分かったが、お話だけでは難しかった。
論点が少し分かりにくい所がありました。
もう少し長い時間があってもよかったかと思いました。。
本日の講演について(意見抜粋)
皆が努力され、レベルアップされている姿を拝見し、とても元気いただきありがとうございました。
事前発表を聞かせてもらう度に、ケアマネがいかに忍耐強いか、利用者にどこまで関わって行くか、困難事例に出合い、問題解決が出来た時の喜び等・・発表者と同じような日々を送っておりますが、本日は様々なケースを通して勉強させて頂き、パワーを頂きました。
皆さんも困難なケースを頑張っておられるので、参考になったし、励みになりました。まとめ方がうまく、勉強になりました。
たくさんの困難事例の中で、利用者の方がケアマネ−ジャーをはじめとしてたくさんの人に助けられて生活できている部分もあると感じた。社会資源の重要さを改めて感じました。
困難事例を具体的に発表されて、個々それぞれのケースを掘りおこせばまたいろいろなニーズが出てくるのではないかと思い、丁寧にアセスメントしていくことの必要性を感じました。
自分のアプローチが単一となりがちであるが、様々な事例発表を聞くことでアプローチ方法の参考となった。
一人一人の利用者に対し、とてもていねいに対応されていないことに学ぶことが多くありました。
各事例ともチームアプローチの成功例であり、ケアマネのモチベーションが高くなったと確信する。キーワードはいずれも「あきらめない」
いろいろな角度から困難事例に取り組んでいるケアマネさんの努力を感じた。
介護保険外のサービス、機関との連携・利用で解決していった過程がとても勉強になりました。最近、ご本人の問題よりも、介護者の問題にふりまわされる事が多いように感じます。大変参考になりました。
困難な事例の発表であったが、これからこのようなケースが多くなると思われる。そのためには、事例にあったように介護保険外の情報を常に持つことが必要と思われた。
色々な事例の中で情報(引き出し)を沢山持つ事の大切さ、他職種との情報交換と連携の大切さをあらためて感じた。又、ケアマネが方法を決めてしまうと危険だと感じました。
同じようなケースもあり、今後の支援の参考となり、又、直接連絡を取りながら取りくんでいけたらと思いました。広島市のケアマネの質の向上に向けて、とてもよい発表だと思いました。
利用者の方の心を動かすにはどのような会話をしていけばよいのか、生きてこられた人生を基に意欲的な生活が出来るように支援したいと思います。フォーマル、インフォーマルサービスについて、もっと勉強したいと思いました。
それぞれの発表には、ケアマネの苦労がうかがえた。時間・体力をついやされたことでしょう。また、他事業者や各関係機関との連携もとられており、感銘受けた。
自分も似たようなケースとの関わりがあり、対応に戸惑いを感じているところで、今回の発表を聞き、いろんな案・選ぶ方法があるのだということを気付かされた。自分が決めるのではなく、決定権は家族にあるとは思いながら、すべてを抱え込んでしまいがちになるため、発表を聞くことで、いろんな方と関わりながら支えていくのだということを改めて感じた。
今回の事例の中にも要5の在宅での生活が挙げられていましたが、私も独居の方に携わっていますが、今の介護保険では限界があり、矛盾があり、日々の生活に支障をきたしておられます。制度改正に伴い、安心して在宅の生活ができるようにならなければと思います。他にも困難な事例を聞けて勉強になりました。
発表方法も工夫があり、困難事例であったことが視覚的にもよく理解できた。
通所系サービスを利用希望する時、訪問看護では通常行っている入浴サービスの利用を拒否や、家族の態度が困ると、利用を拒否する事業所があると聞きます。利用者からの訴え、苦痛を考えての対応でしょうが、もう少し断る前に歩みよって欲しいものだと思います。(事例8について感じました)
発表を聞きながら同調し、自身の担当ケースを思い浮かべていました。"連携"とひと口に言いますが、そこに至るプロセスにおいて支援専門員の果たす役割や労力は大変なものがあります。達成感の得にくい仕事ではありますが、発表を聞きつつ、ポジティブになれる自分を感じています。
"困難"と言われるだけのケース内容だと思う。流れをまとめてあり分かりやすかったが、イメージするのに時間がかかり、ついていけなかったように思う。司会者が時折質問された、ケアマネとしての悩みや不安も話されてもよかったのではないか。
どの事例も聞きたいことがたくさん出ましたが、時間制限がありだったので、残念でした。
事例は成功事例ばかり出す必要はないと思うが、自分も同じような事例を持っていると、どう進めていかれたのか、とても気になります。しかし、わずか10分程度の発表ではなかなかそれを掴むのは難しいと思われます。問3にもつながりますが、一人一人のケアプランを、やはり個別で細かい所まで一緒に検討してもらえる場所が欲しいと切に願います。