(第5回広島ケアマネジメント学会報告)
テーマ みんなで考える自立支援と介護予防  〜地域で築こう生きる喜び〜
日時 平成17年11月20日(日)
会場 広島国際会議場 ヒマワリ・ダリア
参加者 367人
 開会式では、主催者を代表してNPO法人広島県介護支援専門員協会の荒木会長が、今後変わり行く制度の中で、改めて尊厳の保持について考え、自立支援を目的としたかかわりが求められることを挨拶の中で話された。引き続き基調講演は
テーマ 介護保険制度の見直しとケアマネジメント
講師 厚生労働省老健局 老人保健課 課長  三浦公嗣 氏
 で次のような内容の講演があった。
 今回の改正は介護保険施行5年間の検証であり、高齢者数がピークを迎える2015年.2025年問題への対応であり、また厳しい見直しと言えるかもしれないが介護保険制度の本質である、「年をとっても活動的に生活をする」「尊厳のある生活をする」と言うことは変わらない。特に要支援者が2.2倍、要介護1が2.4倍と軽度者の増加が顕著であり、掘り起こし活動が推測され、独立型の居宅介護支援事業所の検討も行う内容もあった。
 介護予防とは筋力トレーニングと誤解されているようだが、地域包括支援センターの役割の中で、3職種が協働し、地域での取り組み、ボランティア、医療機関などとのネットワークを構築していき住み慣れた地域、家で暮らし続けることであると説明された。
 今回の介護予防のキーワードは
   要介護状態の予防
   要介護状態の軽減もしくは悪化の防止
   軽度の人のための予防給付
   要支援状態になる手前の人に介護予防事業、地域支援事業
   保健事業については、ただ教室の開催に止まらず、何の為に何をしたか、ハイリスクの人に焦点をあてる。
 また、介護予防は目標ではなく、手段であり、日常生活における「自己実現の達成」が真の目標である。利用者の意欲を重視し、自主的で継続的な取り組みをすることで地域のネットワークづくり、町づくりが重要である。
 新予防給付については16種類のサービスが利用できる。軽度者に対する3大サービスとして、介護予防訪問介護・介護予防通所介護・介護予防通所リハビリをあげ、どの様にすればその人らしい生活が維持できるか、また、運動器の機能向上を含め個別プログラムを重視し、きわめて適切、有効なケアマネジメントが求められる。
 新たなプログラムとして・運動器の機能向上、・栄養改善、・口腔機能の向上を実施する。
 介護予防の現状と方向性については、
 状態に応じてサービスを提供しているが、出来るようになる可能性があれば、どの様にすれば出来るようになるのか、と言う視点に於いて生活機能の回復を目指すこと。
 出来ないことを出来るように、出来ることをしていることに変えていく。
 方向性として
   利用者の改善可能性に着目
   ケアマネジメントの理念は変わらず、利用者の意欲を引き出すこと
   主体的にサービス利用がされるようにアプローチする
   本人の意見は大切であるが、本当に必要なことは何か、御用聞きケアマネジャーであってはならない。
 介護報酬の改定に向けての今後のスケジュールの報告があったが短期間での、移行であり、現場のケアマネジャーの不安は大きいと感じた。

 午後からは2会場に分かれ6つの分科会において、18の事例が紹介された。第1分科会のテーマである「介護予防」は、10月から施設制度の改正があり、栄養ケアマネジメントとケアプランとの整合性、新予防給付への関心が高いところからか多数の出席者があり、質問も多くあった。その中で、座長の森山先生より、栄養ケアマネジメント、リハビリプラン、看護介護計画など、個別に捉えるのではなく、施設ケアプランの中にチーム協働により、包括的にニーズとして挙げていくことが利用者の混乱を避け自立支援につながるのではないかとのまとめがあった。

 最後に「みんなで考える自立支援と介護予防」〜地域で築こう生きる喜び〜をテーマにシンポジウムがあった。
 シンポジウムに先立ち、助言者の日本介護支援専門員協会会長木村隆次先生より、介護予防に関する考え方、情報の提供があり時期に合った興味深い内容であった。シンポジウムに於いては、保険者の立場から・保健師の立場から・介護支援専門員の立場から、それぞれ発表された。特に今回は、時代を象徴する過疎化、少子高齢化の町(安芸太田町)の佐々木町長より保険者の取り組みを紹介され、会場も興味深く聞き入っていた。最後に進行の落久保先生より、対象者の自己実現に向けた質の高いケアマネジメントがなされるよう、介護支援専門員全員が研鑽を重ね、新たな気持ちで取り組むことが求められる。という結びの言葉でシンポジウムを終えた。