(研修会報告)
テーマ 「認知症の人のより良い支援にむけて〜センター方式を共に活かして〜」
日時 平成20年1月24日(木)10:00〜16:30
場所 広島国際会議場「ヒマワリ」
参加 230名
講師 認知症介護研究・研修東京センター主任研究主幹
永田久美子 氏

 本会の会員を対象に開催された研修会は、落久保裕之会長の開会挨拶から始まり、会長からは介護支援専門員にとってこれまで以上に認知症に対する正しい知識と対応が望まれ、医師会でもサポート医制度のもとで医師と介護支援専門員の連携が重視されているとのお話がありました。その後永田久美子先生による次のような内容の研修が行われました。

(1)研修のねらいは認知症の人と家族が安心して暮らし続けるために、関係者が視点を共有し、チームを組んで、方法を共有する道具として効率的にセンター方式を活用して、実際のケースで振り返りながら明日からできることを見つけることです。

(2)認知症ケアの歴史を振り返り、問題対処型のケアから利用者本位のケアへ移行し、2015年に向けてわが町で確実な認知症地域支援が実施されることが望まれます。

(3)認知症の中核症状や認知症の人が体験する不安やストレスを理解し、まずは本人の声をしっかりキャッチして課題や手がかりを見出すのが原点です。

(4)「認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式」は、認知症の人の特徴を総合的にとらえるためのシート(道具)で、いつでも、どこでも、本人を支える人が立場や専門によらずチームで使って様々な成果が確認されています。

(5)午後からセンター方式シートを使って3人でグループワークを行い、かかわりで困っている自分のケースから一つ選んでワークシートで情報交換し、センター方式シートC−1−2心身の情報(私の姿と気持ちシート)、D−1焦点情報(私ができること・私ができないことシート)、A−4基本情報(私の支援マップシート)に実際に記入して様々な角度から本人の理解を深めました。また演習中は4名のファシリテーターが会場を回り、演習の効果を高めることができました。

(6)具体的にセンター方式の活かし方とそれぞれのシートのねらいが説明され、シートを使ってチーム力を高めることが地域を変える大事な一歩であることが理解されました。

 最後に、永田久美子先生の言われた「見えにくい本人・家族の思いや力を理解し、支援のポイントを見出し、サービス担当者会議やサービス提供者との連携の中で少しずつシートを使って、ひとりではなくチームを育てて着実に」という言葉に、参加者の介護支援専門員も元気が出る研修でした。

 なお、今回の研修では地元の地域推進員4名の方々がファシリテーターとして参加し、受講者の個人ワークやグループワークのバックアップをしました。
(アンケートまとめ)
「認知症の人のより良い支援にむけて〜センター方式を共に活かして〜」
講師 永田久美子
平成20年1月24日/広島国際会議場「ヒマワリ」/参加者 230人
○ 本日の講演はいかがでしたか。(回答数181人)
とても参考になった 118人(65%) 参考になった 63人(35%)
あまり参考にならなかった 0人(0%)   参考にならなかった 0人(0%)  
研修会についての感想・意見(抜粋)
永田先生の講義は、いつ参加しても実際に活用できる内容で心に響く言葉をいただいています。
介護支援専門員として関係作りの大切さ、ご本人のためにどうしたらよいのか、具体的に良くわかりました。永田先生の穏やかで温かな人柄がしのばれる講演は、とてもわかりやすかったです。介護支援専門員として、やはり必要な資質だと感じました。
今までも何度か認知症の研修に参加してきたが、これほど参考になる実践に役立つ研修ではなかった。明日からの支援に活かしていきたい。
短い研修でしたが、目から鱗の内容で、早速生かせると思います。色々な職員に伝え共有していきたいです。
シートを記入することで改めて発見できることもあり、有意義でした。
センター方式がよく理解できました。利用してみようと思います。
センター方式、話に聞くだけで目にすることがなかったので、とても勉強になりました。さっそく明日から利用していこうと思います。
センター方式に興味があり、どんなものか知りたかったので知ることができよかった。
以前よりセンター方式を利用してみたいと思っていたが、なかなか勉強する機会がなかった。今日の研修に参加し、ある程度理解することができたので、今後、利用していきたい。
認知症のポイント、センター方式の重要さが良く分かった。話も簡潔で分かりやすく、とても理解しやすかったです。今後のサービス、プランの参考に是非生かしていきたいと思います。
センター方式、言葉はよく聞くが内容はよくわかりませんでした。本日の研修は、介護支援専門員の立場からの説明を頂き、大変良く理解できました。
センター方式の研修、初めてです。興味深く聴きました。様々な角度から本人の理解を深めることの必要性を痛感しました。
センター方式は、シートの数も多く、しっかり関わりを持たなければできないと思っていたが、色んな人からの情報を集める手段として利用できることがわかり活用してみようと思った。全てをうめなくてよい、必要なところだけを・・・というので、自分なりに活用できたらと思う。
今、MDS−HCを使ってプランアセスメントを行っていますが、問題点ばかりが抽出されるので特記事項でICFの流れを取り入れた文面にしてPCに反映させています。センター方式も同様に本人の思い、習慣やなじみといったものがあり、組合わせながら進めていこうと思います。
とても良い研修になりました。実際に抱えているケースを取り上げることにより、今までの関わりを振り返ると共に利用者本位なのだということに改めて気づかされました。また、同じグループの方のケースを知ったことで、みんな大変なんだ、自分もがんばろうと励まされました。
自分ではそれなりに本人や家族の人の情報集めや、それに対する対応をしてきていたつもりだったが、実際、研修を受けてみて"私の言いたいこと"が理解できておらず、ショックだった。今後の介護支援専門員としての考え、行動に今日の研修内容を取り入れていきたい。
シートを記入しようとしたのですが、なかなかうめることができないことに気がつき反省しました。小さなことでも、ご本人の言われることに、もっと注意を向けなければならないと思いました。
本人の希望をよく聞いていないことに気がついた。本人のやりたいこと、できることに目を向けていなかったことも。他スタッフからの情報を得るのは大変だけど、一言、一行で良いからと少しずつ始めてみたい。
アセスメントで得られない情報をしっかり聞き取れる。また、生活パターンの理解もできるので、とても良いシートだと思いました。実際、認知症対応型デイのスタッフの方が新規の時、時間をかけてゆっくり記入されていたことを思い出しました。ぜひ、活用していきたいと思います。
現場の人が1番情報を持っているというのは全く同感です。しっかりしたサービス提供責任者が担当だと、本当に助かります。自社の訪問介護サービスや通所サービスなら、すぐに情報が入ってきますが、他社の場合は介護支援専門員の自分だけが知らないことも多々あります。センター方式のC−1−2のシートは、特に活用次第です。困難な方をまず1名から。デイサービスや小規模多機能はしっかり活用できそう。
沢山のシートを全部埋めていく事を考え、シートの活用を避けていた部分がありましたが、今日の講演を聞いた事で、できる所から、書けるシートから無理せず始められる事が分かり、活用してみようと思いました。
認知症の方に対する自分の気持ちが偏っていたと思いました。「してあげる」ではなく、「可能性を見つけ、呼び起こさせる」ようにしたいです。
利用者の気持ちに寄り添って気持ちを聞く。チームスタッフが皆で喜べる(できたことを)プラン、計画を目指す。自分が認知症になった時もチームがこれだけ自分を知ってくれると嬉しいと思った。愛情ある情報収集・・・
認知症の方のアセスメントは、できないことに注目するばかりだったので、良い見方ができるようになり良かったです。。
本人の言葉、家族、スタッフの言葉をそのまま記入できるシートなので使いやすそうだと感じた。私の姿をイラストで書くのは、本人の実像が掴みやすい。
認知症の方に対してのアセスメントの仕方が変わるように思いました。今後は深く見ていけたらと感じました。
1つからシートを利用していきたい。とても理解しやすい講義が受けられ、有難く思いました。次回、ステップアップの研修会が楽しみです。
悩んでいたことがちょっとすっきりして、今後自分の仕事に自信が持てそうです。
グループワークがあり、話をする機会もあり楽しく研修できました。
〜したら、〜の力を引き出せる、という助言であったが、それは限られた状況でのみ可能!と思う場面が沢山あった。あまりにも理想論ばかりで、現場でどれだけ取り入れられるか疑問。ただ、支援者の姿勢が変われば、たぶん支援が変わるかなとも思った。
なかなか1人の人に対し、これだけの情報を得ることは大変。記入も大変だが、実際に活かせるのか不安。介護保険制度が厳しく、訪問介護で話を聞いてもらったり見守ったりはできないので、対応できないケースが多い。
今後を考える上で参考にはなったが、シートの作成方法、考え方に終始していた。認知症の医学的知見や症状などの話が聞きたかった。
その他、意見等(抜粋)
支援費制度も一緒になると聞きましたが、支援費の事が全くわかりません。
今日のような研修を行政、警察の方も一緒に聞くべき、勉強すべき。
認知症の方への対応→しっかりと本人の声を聞くべきですが、今の介護保険では見守り、話し相手は報酬の算定はできません。介護保険のヘルパーでは認知症の対応はできないのですか?
介護支援専門員の業務について、どこまでが仕事なのか悩むことがある。
現在の活動上支障のある事を羅列でも良いので調査して、リスクとしてデータベース化介護支援専門員の業務を改善できる手段にしてもらえませんか?
今後、参加してみたい研修(抜粋)
再度、センター方式について
ケアプランの立て方
モニタリングについて
担当者会議の進め方
事業所の運営管理
処遇困難事例
事例を持ち寄っての検討会
グループ討議
高齢者虐待
口から食べることの大切さ、口腔の体への影響力など
自立支援についての地域包括支援センターとの連携について
小規模多機能について知りたい。
介護保険制度と医療保険制度のサービス、併用禁止事項についての具体的な研修
医師との意見交換の場があれば
医療との連携(重度の方を在宅で介護する場合、医療行為というものにいつも苦労しています)
認知症を医学的に知りたい。
認知症の事例を色々知りたいと思います。
認知症ケア
認知症ケアの手法の1つとして"バリデーション"を取り上げて欲しい。
緩和ケア等、介護、福祉職にも良くわかる医療について
精神障害
後期高齢者医療制度
パーキンソン病によるon、off等の症状が安定していない場合のケアプラン及び家族支援について
高齢者が使える保険・福祉サービス、条件や手続き等を教えてください。
難病の方とその介護者の方の対応について苦戦しています。本人の葛藤、家族の病気そのものの受入れと対応について
地域、社会資源、ボランティアグループ等について
事業所のある地域包括支援センターだけでは全ての人に対応できないので、色んな地域が一緒になれる研修はないでしょうか。
サービス事業者に協力を求める為に事業者も同じような研修の場があればよいと思う。
介護支援専門員ばかりでなく、施設経営者等にも介護支援専門員業務について理解してもらえるような研修をお願いします。
介護支援専門員や事業所職員の研修はあるが、代表者(社長等)が必ず参加する法令遵守研修、絶対守らないといけないこと等を伝える研修をすれば、もっと本来の仕事がしやすくなるし、法令遵守にもつながると思います。
県NPO主催のモニタリングと評価の申込みをしましたが、定員一杯で受講できませんでした。市域で開催していただきたいと思います。