(報告)
第2回居宅介護支援事業者研修会
日時 平成23年3月23日(水) 14:00〜16:20
場所 広島国際会議場 「ダリア」
参加者 260名
演題 「今、介護支援専門員があらためて求められているもの」「新しい認知症ケア」
講師 特別養護老人ホームじょうもんの郷 施設長 助川未枝保氏


<講演趣旨>
「今、介護支援専門員があらためて求められているもの」
 地域包括ケア研究会の報告では「アセスメントやケアカンファレンスが十分に行なわれておらず、介護支援専門員によるケアマネジメントが十分に効果を発揮していない」との指摘がある。利用者や家族の意向だけを尊重した言いなりプランやパターン化したプランではなく、利用者のQOL向上を目標に作成・提示し、利用者が選択する。介護支援専門員は目標の達成状況を点検し、ケアプランを修正していかなければならない。アセスメントの中で潜在的なニーズを浮きぼりにしていき、利用者本人に気づいてもらい、それを本人の希望・目標(また〜したい)にしていかなければならない。
 今後は病院以外での看取りが増大していくことが予想されている。介護支援専門員は利用者が病院・施設等から在宅復帰をする際、利用者を介護サービスだけで閉じ込めることなく、地域の力(インフォーマルサービス)も活用しながら、地域の中での暮らしを継続していくことができるよう支援していかなければならない。利用者が落ち着けば、家族が落ち着き、さらには地域も落ち着いていく。

「新しい認知症ケア 〜あなたは寄り添えていますか〜」
 認知症の多様性−原因はアルツハイマー病が50%、脳血管性が20%、その他(レビー小体型など)が30%。治療可能な認知症もあり、それを発見してあげるのも介護支援専門員の仕事の一つである。認知症では記憶・見当識・理解、判断力・実行機能等が障害される。また、行動障害とは対応能力の低下から引き起こされるもので、問題行動ではなく、適切な行動がとれないことである。認知症のある方への間違った認識(本人は何もわからない、危険だから何もさせない等々)があるが、認知症の方は不安でうろうろしたり、嫌なことは拒絶したりと意思表示をしている。利用者の意志表示を介護支援専門員がしっかりと把握して適切なケアへとつなげていかなければならない。認知症ケアで大切なことは、(1)あきらめないこと (2)相手の気持ちを大事に (3)言葉だけでなく、表情も大事に (4)相手の世界に合わせる (5)言葉の前に自分の心の中を整理することである。利用者がその人らしく地域の中で暮らしていけるよう地域のみんなで支えていけなければならない。
 また、講師の先生の施設では、その人の生活に合わせた個別ケアを行なったり、理学療法士による日常生活の支援(座る位置が重要)、笑いを意図的に取り入れた介護等を行なっている。
(研修会アンケートまとめ)
(回答数196人)
1.本日の研修会はいかがでしたか。
とても参考になった 128人(65%) 参考になった 65人(33%)
あまり参考にならなかった 1人(1%)   参考にならなかった 1人(1%)
2.研修会についての意見等(抜粋)
制度だけでなく、実際のケアと両面のお話が聞けて、とても参考になりました。大変な状況の中、来ていただいたことにも、とても感謝しています。
わかりやすい言葉でとても勉強になりました。ぜひ、また教えていただきたいです。今日は、本当にありがとうございました。
幅広く色々な話を聞かせていただいたので、活力になりました。介護支援専門員をまた頑張れそうです。
今の自分を反省できると同時に、これからの自分の介護支援専門員業務に対して、とても役立ちました。行政ではなく、利用者に必要とされる、認めていただける、介護支援専門員になりたいと思っています。
助川先生の熱心な講義に感動しました。
今日は、どうもありがとうございました。はきはきした話し方で、テンポ良く、一気に時間が過ぎてしまった感じです。講義が進行するにあたって、自分の勉強不足に直面し、頭が熱くなりました。アセスメントや問題出現時のカンファレンスなど、重要な事柄を1つ1つ見直してみようと思います。
人間として、お互いに信頼関係ができるような関わりを持てるようなケアマネジメントを行えるよう努力したいです。
現場の声、事例を通してのお話、良く理解できました。と同時に、自分の仕事の責任の大きさを痛感しました。
今日のお話(ひもときシート)をDS職員のスーパービジョンで使ってみようと思いました。(特定の利用者に対し、興奮させてしまう・・・)職員もなぜそうさせてしまうのか、わからないようで、「合わない」ですましています。他職員も先輩のため言い出せず困っています。もう1度、先生のお話を聞きたいです。
認知症の方への対応について困っています。介護支援専門員として、どうサービスをうまく組み合わせたら良いのかと考えていますが、重度の認知症の方の受け入れができない事務所が多く、悩んでいます。できれば事業所向けに講義いただきたいと思いました。
わかりやすく、深く講義をしてもらった。もっと、時間があったら・・・もっと、もっと助川先生から話を聞きたいと思いました。ひもときシートの講義は、いつ開催されるか知りたい!有意義な時間を本日はありがとうございました。
ひもときシートは、こじれている問題部分を紐解いていき、その人の課題が見えてくるという面で、とてもわかりやすく、多方面から見つめるということは、見えてなかったことに気づくことができると思いました。そういう場面に出会ったら、使わせてもらいたいと思いました。
ひもときシート、目からウロコでした。認知症の方がいらっしゃるので使ってみようと思います。もう少しゆっくりと時間をかけて説明、講義を受けたかったです。
ひもときシートの使い方がはっきりとわかり、これからのケアプラン、ケアマネジメントに利用したいと思います。
助川先生が非常にエネルギッシュで、刺激を受けました。認知症の研修は何回も受けましたが、私も内容をすぐ忘れます。記憶に時間がかかります。今回も全部は覚えられませんが、印象的なことをしっかり覚えようと思います。ひもときシート使ってみます。
困っていることをひもときシートで探し出していきたいと思い、参考にさせてもらいます。認知症の方の笑顔を引き出すよう、接していきたいと思います。
認知症に対する理解を深めることができました。ひもときシートに関する実践研修があれば、参加してみたいと思います。
ひもときシートは、初めて見ました。実践してみたいと思います。
現在、母がアルツハイマーでとても参考になりました。対応も自分なりに頑張っているつもりでしたが、もっともっと対応を考えるべきと思いました。
とても理論的で、わかりやすい講義でした。私の基礎資格である看護師という知識を活用する方法や考え方に悩んでいたので、とても参考になりました。
忙しさに、あきらめているところがあったなぁと反省しています。
とてもパワフルな助川先生のお話し、楽しく聞かせていただきました。まだまだ、認知症の勉強不足を感じました。これからも日々学習しながら、地域の力をもう少し意識した介護支援専門員になりたいと思います。
現在、実際に行われている支援をもとにお話をしてくださり、早々に私たちの支援に生かしていけるような内容でしたので、参考にさせていただきます。ありがとうございました。
公的な地域包括ケアの流れと認知症ケアについて、介護支援専門員が今後どのような視点に注意して関わればよいかが、わかりやすくまとめられていて参考になりました。
時間が短く、もう少し話を聞きたいと思った。機会があれば、もう1度参加したいと思った。
脳血管疾患等の麻痺の拘縮について、今まで自分が認識していたことが間違っているのでは…と感じた。認知について理解を深め、個別的援助ができるようになりたいと感じた。
共に考える力をつけていくことが大切だと思った。特に助川先生がとても楽しんでおられるのが、私も共感できたらと思いますが、まだ必死で利用者に会っている状態です。その心が利用者に伝わるので、1つ1つ落ち着いて楽しんでいきたいと思います。
体験談も話してくださり、大変勉強になりました。ありがとうございました。明日からまた頑張りたいと思います。
介護支援専門員の現状と課題の話を聞いて、ケアマネジメントの在り方、専門職としての関わり方について再認識することができました。1つ1つのケースに真剣に取り組んでいこうと思いました。
支援する側ではなく、支援される側の立場や気持ちを良く考えて実行されている点を参考にさせていただきたいと思います。支援される側の気持ちを感じても、実行していなかった面があり、反省しました。
とても良い講義でしたので、もう少し時間をとってお聞きしたかったです。次にチャンスがあれば、是非参加したいです。
認知症の方への考え方を具体的に事例も交えてお話いただいて、とても参考になりました。明日から、もう1度、今日の話を頭に、利用者さんと向かい合いたいと思います。笑顔で訪問してみます。
事例をはさみながらの講義で、とても充実していました。バリアフリーにされている勇気に驚きました。認知症のセラピーを学びたいと思いました。
とても面白く、勉強になりました。あきらめません。
時間不足の感があり残念でした。お話の内容は、とても具体的でわかりやすく、参考になりました。
時間が足りなかったのが残念で、参考にはなりましたが、不完全燃焼でした。
3.今後参加してみたい研修会テーマ
モニタリング
生活保護について
精神障害者の支援について
認知症のリハビリがあったら知りたい
医療的認知症の研修
ターミナルケア
医療、介護の改正について
H24年度の改正に向けての情報提供(複数回答)
医療の知識が深められる研修
医療依存度の高い利用者の医療と介護の連携
薬剤について。ケアマネジャーは、どこまでかかわればいいか。
再度、助川先生のお話を詳しく聞きたい(複数回答)
もう1度、センター方式を研修したい(複数回答)
ひもときシートの使い方をゆっくり勉強できるようにお願いします(複数回答)
認知症の事例検討会、ひもときシートを使ってやってみたいです
インフォーマル資源の活用方法や取り組み方を詳しく知りたいです
地域連携について
医療と福祉の連携について。ドクターの考えをまとめたものを研修していただきたいです。
高次機能障害等、障害をおもちの方の話など
認知症の実態をもっと知りたい
精神疾患を持つ高齢者との関わりの持ち方
人間として深められるものをお願いします。
心理療法(回想法等)少し実技のあるような、いつもと違う実践編を期待します。
4.その他ご意見 (抜粋)
3月の頭から居宅の介護支援専門員をしています。勉強不足なのをものすごく痛感しつつ、頑張っています。色々な研修に参加していこうと思います。
老健併設の居宅で仕事をしていた時、その施設の看護師から言われ、傷ついた言葉があります。退院後間もないため、介護者の負担を考え、在宅での移乗、移動の方法を教えてもらうため訪問リハビリを取り入れました。プランを見て、「認知症にリハビリは必要な」との言葉。どう思われますか?教えてください。老健にはOTが三人いました。
今、包括の介護支援専門員をしていますが、ニーズとディマンドをすり合わせるために、短い期間で信頼関係を築くためにはどうすれば良いのでしょうか?
特養、老健、グループホーム等が住宅になり一元化される、外からサービスを導入するようになるとのこと、制度が決まったら詳しく知りたい。