(研修会報告)
第2回居宅介護支援事業者研修会
日時 平成25年3月14日(木)14:00〜16:00
場所 広島国際会議場「ひまわり」
参加者 348名
講演1 「ものわすれつながり手帳のご紹介」
講演講師 広島市認知症疾患医療センター 岩崎 庸子 氏
講演2 「ケアマネジメントと地域包括ケアの実現」
講演講師 厚生労働省老健局振興課 課長 朝川 知昭 氏


<講演1 趣旨>
認知症の方に関わる病院やかかりつけ医、在宅の介護スッタフ等がそれぞれの連携の取れるアイテムとして、「ものわすれつながり手帳」を作成。
   
内容の説明: 本人、家族、問診票、もの忘れの進行度のチェック、症状、既往歴、自由記載など。4月から西区を中心に使用予定(10名程度):本人・家族が望まれた方に発行し、担当の居宅介護支援事業所や包括支援センターへは認知症センターから連絡をいれる。(*内容については、再協議を行っていく)
8月から本格的に開始できるようにしたい。

<講演1 趣旨>
1 包括システムの構築について
(1) 背景:2025年には、75歳以上の高齢者の増加、認知症の増加、単身の高齢者・高齢者世帯の増加、都市部の高齢者人口増加、重度の医療対象者の増加が予測される。また、介護を受ける場所として在宅の希望が多い。
(2) 改革の方向性:どこに住んでいてもその人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会。
  医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への包括的な支援(地域包括ケアを推進)。
  実現するため5つに視点での取り組みを包括的、継続的に行なわれることが必要になる。
(1)医療との連携強化、(2)介護サービスの連携強化、(3)予防の推進、(4)見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など、(5)高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備。
(3) 在宅医療連携拠点事業
  目的: ○高齢者の増加、価値観の多様化に伴い、病気を持ちつつも可能な限り住み慣れた場所で自分らしく過ごす「生活の質」を重視する医療が求められている。
    ○このため在宅医療を提供する機関等を連携拠点として、多職種協働による在宅医療の支援体制を構築し医療と介護が連携した地域における包括的かつ継続的な在宅医療の提供を目指す。
(4) 「地域ケア会議」について
 高齢者個人に対する支援の充実とそれを支える社会基盤の整備とを同時に進めていくツールとなる。
 5つの機能として、(1)個別課題解決機能、(2)ネットワーク構築機能、(3)地域課題発見機能、(4)地域づくり・資源開発機能、(5)政策形成機能、がある。
 個別ケースの検討から地域課題の検討へと進み、自助・互助・共助・公助を組み合わせた地域のケア体制を整備し、地域包括ケアシステムの実現による地域住民の安心・安全とQOL向上を目指す

2 介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理。
見直しの視点
 a.介護支援専門員自身の資質の向上に係る見直しの視点
 b.自立支援に資するケアマネジメントに向けた環境整備に係る見直しの視点
具体的な改善策
(1) ケアマネジメントの質の向上
a.ケアマネジメントの質の向上に向けた取組み
b.介護支援専門員実務研修受験資格の見直し
c.介護支援専門員に係る研修制度の見直し
d.主任介護支援専門員についての見直し
e.ケアマネジメントの質の評価に向けた取組み
(2) 保険者機能の強化
(3) 医療との連携の促進
(4) 介護保険施設の介護支援専門員
  ケアマネジャーの資質の向上にむけて、事業所の枠を超えての研修や主任ケアマネジャーの地域での活動。
更新性の導入等の検討も行っている。
  定期巡回型の利用が少ないのはケアマネジャの必要性の認識が低いからではないか、サービス計画書に、医療サービスの位置づけが少ないなど、厳しい内容もありました。
(アンケートまとめ)
1.本日の研修会はいかがでしたか。(回答数314人)
とても参考になった 90人(28%) 参考になった 210人(67%)
あまり参考にならなかった 12人(4%)   参考にならなかった 2人(1%)
2.研修会についての意見等(抜粋)
ケアマネの質の向上と今後のあり方は興味深く講義を聞く事ができた。医療、地域との連携の重要性を改めて感じた。
主治医の協力がない場合、医療との連携に苦労しています。
認知症センターのセンター長の先生の話す速度が速くて少し聞き取りにくいところもあった。
現在の状況、今後の検討課題が良く分かりました。
社会資源を活用して支援するようにあるが、実際は介護保険を利用しての安易なデイサービス利用が多いと思う。家族・本人の意識改革や本当に使える社会資源はどこにあるのか情報が欲しい。
今後の制度改正が気になりました。
これからのH27年度に向けての制度改正についてのお話が聞けてよかった。
ものわすれつながり手帳については本人の同意が受けられるのか、家族の協力が得られるのか、記載部分が多い分導入がむずかしいのではと思いつつも同意が得られた場合、利用しやすいと思った。
厚生労働省からの指導については、国の方針とケアマネジャーに対する考え(国民の間に定着し、要介護者等にとって欠かせない…)がわかり、ケアマネジャーとしてさらに研修を重ねる必要があると思った。
介護保険料の推移等、行政の立場からの地域ケアの視点等参考になった。
参考にはなったが、自分の近い老後の事を思うと心が暗くなる。近所の人だけには知られたくないと救急車も呼んでほしくないと言われる人が結構いる現実。地域の人々をボランティアとして参加してもらえる困難さを感じる。また、地域の人の参加が継続できるのか心配。
地域包括システムについての話しは重ねて聞いてきているが今日の研修がよくわかった。ただ、資料が見にくかったので整理して下さればより良かったと思う。
巡回訪問を入れたケアプランを作成すると、すぐに限度額を超過してしまう。例えば巡回が必要な被保険者は毎日日中は通所介護を利用していたり、短期入所をとり入れなければならないからです。
介護保険は一度受け始めたらずっと受けられて当然のように思わせる制度がどうかと思います。もっと利用者の意識改革も必要なのでは。今後の介護保険の向かおうとする方向がわかりました。
現在の国の意向を教えてもらい、今後の課題も把握されていることがわかりました。更新研修等の見直しも進んでいることがわかり、今後情報をチェックしていきたいです。
厚労省の人の話を直接聞くことができて勉強になりました。
制度や仕組みが変わり、介護を受ける方に対してわかりにくく、使いにくいものになっている気がする。
一人ケアマネです。様々な困難事例の対応にあたってきました。地域包括、区役所などに指導を仰いできましたが、具体的な指導は得られず結局自ら方法を考え支援に走り頑張ってその後報告する手間が増えただけです。ケアマネだけに視点をおくだけでなく行政体制の改善を希望します。
保険料の負担増、利用者さんの自立支援のためにケアマネとして何ができるか考えないといけないというのがとても分かりやすく説明され良かった。
2時間では時間が足りない様に感じた。今日の内容についてもう少しじっくり聴きたい。
最近、介護福祉士が多くなり医療系のケアが不足していると思います。もっと医療系の実務、講習、実務が必要だと思う。
厚生省の担当者からの施策に関する勉強会で、自身の意欲もわきました。今自分がしていることは、ビジョンの中のひとつなので、何の目的(施策として)がその先にあるのかを知って仕事をすることが大切と感じています。
2025年には第1号被保険者になる自身に顧みて在宅で住み慣れた地域で暮らし続けるために今地域ケアシステムの構築にむけ他職種協同、地域課題の抽出をしてゆく事が必要であると学びを深める事ができた。
地域ケア会議を今年度何度か開催していますが、地域の力が弱いと地域で支えることが難しい事も見えてきました。ケア会議をひとつするための準備が大変です。もっと簡単に開催できるようにしたいですが、一般的な研修指導ではない指導を希望します。地域支援事業について理解できますが、地域包括の業務量の増加を危惧します。地域包括の業務の見直しも必要と思っています。
システムを構築するために個々のケアマネジャーや地域の関係機関に期待される役割や資質について多職種で各地域で学べる場を作っていく必要があると思いました。法人や機関の枠を超えてそういう場をつくるために行政からもリーダーシップをとって働きかけをして欲しいと思います。各区にコミュニティソーシャルワークの責任者を置く位してもよいのではないでしょうか。縦割りではなく、横断的に動ける部署をつくるのも一案かと思います。
地域ケアシステムについて、5つの取り組みの中で、(5)高齢期になっても住み続けることのできる高齢者住まいの整備の中で低所得者の方の住まいについて話しがあって、ケアマネとして関わっていて独居でお金が無い方で在宅が困難な方の対応を考えてほしい。
24時間対応の定期巡回、随時対応サービスの良さは分かりますが、実現には疑問があります。現に小規模多機能でヘルパーさんが家に必要な時に来てくれるのは、採算がとれないので実現していません。理想的だと思いますが、もっと経営的に可能な予算がないと無理と思います。
ケアマネが医療のことを知らないからリハビリを取り入れないと話があった。しかし、医療側や医療資格者ケアマネこそ、生活の場、実態を知らなさすぎる。介護福祉士のケアマネがよく医療と連携が取りにくいと言っているのは、医療より一段劣っているとヒシヒシと感じる対応があるからではないでしょうか。
ケアマネに求められるものの大きさを感じた。地域ケア会議、アセスの新様式等まだはっきりしたものではないようですが、いつもいきなり変更を強要されるので通常の業務に支障のないよう配慮していただきたい。
ケアマネジャー資質向上のための今後のあり方においてはとても大事なことがよくわかりました。わからない事の多い毎日ですが日々向上にむけ、相談できる体制はとても良いことだと思います。
地域包括ケアについてあらためて考えることができた。まずは個々のケースをしっかり検討し、そこから地域のニーズを知るようにしていきたい。
朝川先生のお話は大変わかりやすかったです。
27年の制度改正では包括ケアの基盤を作らないと介護保険自体が機能しなくなるのではないでしょうか。
ケアマネジメントの話は参考になったが、話の展開が早かったので、もう少しゆっくりと聞きたかった。研修を増やすことは良いと思うが、その都度研修費がかかり(高い)、個人の負担が大きい。
ケアマネジャーの資質が問われている事に対しては、「こんなに頑張っているのに…」と感じる部分もあります。現在、主任ケアマネとして働いていますが、新人ケアマネの教育(指導)については反省するところです。頑張ります。
ものわすれつながり手帳については、現に該当者がおられるので早い時期に運用される様になればと思います。
国の今後の方針等が理解できた。高齢者をささえるにあたり今後のあり方が分かりました。
地域包括ケアについて、社福の居宅の管理者の「在宅強調だが施設についてどう考えておられるか」の質問は、非常に役立ちました。スライドの図、(3)家族に依存せず自宅(4)有料老人ホーム・ケア付き住宅に住み替え(5)特養で介護をうけたい→計65% 家族より他者による介護の方がよいということ?嫌な国になったものだと思いました。
業務に追われる日々で思うように研修参加できないが、質の向上を求めるなら研修参加がスムーズに出来る環境整備を行政に求めたい。
3.今後、参加してみたい研修のテーマやその他意見等(抜粋)
福祉職出身のケアマネはどうしても医療の知識が少なく不安も多いのでそういう知識が身につけられる研修があれば良い。事例等を含む現場の医師、看護士さんからの話が聞きたい。
職員マネジメントについて・医療との連携と言われるが具体的な方法が知りたい。
居宅介護支援事業の運営、モデルケースの紹介
リスクマネジメント研修
認知症に対する具体例とそれに対する対処の仕方の成功例について
課題抽出シートの研修について
サービス担当者会議のあり方
地域包括ケアや多職種連携の事例など実際にされている方のお話を聞きたい。
プランニング、アセスメント、モニタリングの要点
障害制度について
行政の方からの話しを定期的に聴講したいです。
「地域ケア会議開催方法と事例検討のすすめかた」を体感できるようなグループワーク研修(ロールプレイ)を希望します。
介護保険制度、医療保険制度の改正について
次年度改正に向けての社会の動向、「地域包括ケア」の内容等。
ケアプランの短期目標の期間と運営基準上のケアプラン作成時期とが連動していない。ケアプランは運営基準で作成時期が必須になっているが、ケアプランはストレングスモデルを作ると達成可能時期で短期目標の期間は1ヶ月、3ヶ月を設定することがあると思います。その時点で、ケアプランを作り直す必要があると思う。運営基準をそのままにして、ICFモデル実践する上での短期、長期の期間との矛盾について厚労省、市、県などの見解、ICFモデルを推選する学者さま方の見解を聞きたい。
自立支援のケアマネジメントについて、医療・リハとの連携など具体的に学べる研修。
認知症高齢者とのコミュニケーションのとり方、精神疾患高齢者への包括ケアについて
地域のかかりつけ医の先生は、介護保険について、ケアマネについて、どう思っておられ、何を望まれているかお話を聞きたい。
ケアプランにおける福祉用具の位置づけ
新しいアセスメント方式について学びたい
ニーズの発見の仕方、苦情と相談対応のあり方、事例研究の仕方
色々な入所施設の情報について知りたいです。
認知症、周辺行動に対する具体的な介護改善例についての研修があれば参加してみたいです。
医療との連携について。参加型の研修があったらと思います。