日本ケアマネジメント学会第12回研究大会へ参加して
広島県看護協会居宅介護支援事業所「若草」 三橋紀子
去る6月5日6日の2日間、大阪国際会議場・リーガロイヤルNCBにおいて、日本ケアマネジメント学会第12回研究大会が開催された。大会テーマ「ケアマネジメントの本質とは何か」であった。私は「在宅にてガン末期を看取るケアマネジャーの役割について」と題して発表した。全国からたくさんの参加があり、とても緊張した。
大会長白澤政和先生の講演をはじめ、記念講演、一般講演、ポスター発表を含め114の演題が分科会で発表された。
リチャード・ゴスチャ氏の記念講演は興味深く、氏は25年以上にわたって精神保健分野に従事され、ケアマネジャー、ケアマネジメントにおけるスーパーバイザー、プログラム長、施設長等の経歴がある。講演では、クライエントに対して最も多くの時間を割き、クライエントにとってどのようなことに意味があり、どのようなことが重要なことなのかを最もよく理解し、生活の質を向上させるために、クライエントのストレングスを見出していくのに最も良い位置にいるサービス担当者が、実践現場のケアマネジャーであるいう事。ケアマネジメントの本質は、クライエントにリカバリーが生じやすいように環境調整し、その状況を作り出していく事にある。私たちが支援を提供している人について何を信じているのか?人の能力には可能性があることなどを、事例を通して話された。
その一つの事例のジムは、一日中コーヒーを飲みプログラムやグループ活動に参加しない、シャワーをしない、独語を大きな声で話すなどの問題のあるクライエントであった。そんなジムのそばにケアマネジャーとして一緒に座り、イエス、ノーのみの会話から始まり、次第に話が拡がる中で、牧畜農家で育ち、牧畜については色々な知識があることがわかり、牧畜農家に行くことを働きかける。農家では問題なく働けるが、しかし彼はけっしてシャワーはしない、会話は独り言である事は変わりない。
リカバリーとは、「人生の意義、目的そして肯定的な自己観が持てるような価値のある人生を営んでいくこと」「治癒ではなく意義、アイデンティティーを持つことができること」
ケアマネジメントの本質は、クライエントにリカバリーが生じやすいように環境調整し、その状況を作り出していくことにある。同じことが認知症などのクライエントにも言える。
そしてケアマネジャーの行動規範は、(1)私たちのクライエントと呼ぶ人たちに敬意を払う(2)クライエントの成果について常に着目する、(3)不可能であるとあきらめない健全さを持つ、C生活とは何かを知るため学ぶと、講演された。とてもわかりやすく聞かせていただいた。
講演、分科会を通して、ケアマネジメント業務の多様な生活課題に対し、多職種の連携が必要であり、ケアマネジャーとしての力量、チームコーディネートの大切さを再認識し、ケアマネジャーとして、役割を学ぶことができた。
このたびは参加をさせていただき、本当にありがとうございました。