(総会・研修会報告)
「平成27年度総会及び研修会」
日時 平成27年7月2日(木)10:00〜12:15
場所 アステールプラザ「中ホール」
参加者 220名


1.総会
(1) 開会
(2) 落久保会長挨拶
(3) 平成26年度事業報告
(4) 議事
  第1号議案 平成26年度決算について
第2号議案 平成27年度事業計画(案)について
第3号議案 平成27年度予算(案)について
第4号議案 役員改選について
(5) 閉会

2.自主勉強会
講演  「地域包括ケアシステムにおけるケアマネジメントの役割」
講師  講師 一般社団法人 日本ケアマネジメント学会
 理事長 白澤 政和 先生

地域包括ケアシステム構築にむけて介護保険制度の改正が行われているところであるが、地域包括ケアシステムにおけるケアマネジメントの役割について、日本の土壌でのケアマネジメントを提唱し、介護保険制度では介護支援専門員の創設に関わってきた白澤政和氏を講師に迎え、ご講演をいただいた。以下はその要旨である。

地域包括ケアでの2つの要素として、@地域包括ケアの仕組みづくり(地域での器づくり)とA地域包括ケアを実施する新規サービス(器に盛られるもの)があげられる。@において、まずは仕組みを作ることが重要である。これを作る中で新規のサービスの必要性が明らかになり、器に盛られていくことになる。Aについては、財源により、サービスの量や質が決まる。また、そこでのセルフケアやインフォーマルケアの育成が必須である。これのみでは、どのように育成していくのかが見えてこない。今まさに@が問われている。

地域包括ケアでの地域包括支援センターの役割は、地域包括ケアの仕組みづくりのために、地域のネットワークを作り上げることである。「地域ケア会議」において、地域包括支援センターは、個別の事例検討を通じて、多職種協働によるケアマネージャーのケアマネジメント支援を行うとともに、地域のネットワークづくりにつながる働きがけをする必要がある。地域の中での課題を明らかにし、地域の中で課題を解決していき、その過程で新しいサービスを生み出すことにつながればよい。
また、地域包括ケアでのケアマージャーの役割は、@ワンストップでのケアマネジメントを適切に実施、利用者のニーズを充足させるA支援困難事例を地域包括支援センターと共有化し、関係者と事例検討会で議論し、解決方法を検討するB支援困難事例から見えてくる地域のニーズについて、地域包括支援センターと一緒に検討する。地域のニーズには、今後起こらないための予防的なニーズもあれば、起こった時に円滑に対応するためのニーズもあるC地域ニーズを実現していくために、個人としてだけでなく、介護支援専門員の地域の団体として、積極的に協力していくことである。

ケアマネジメントに目を向けると、介護保険の理念である「自立支援」の考え方が、十分に共有されていない状況にあり、今後、ケアマネージャーはさらに自立支援のケアマネジメントを行っていく必要がある。自立支援のケアマネジメントとは、利用者が有する力(ADL,IADL,健康、意欲、他者との関係性、思考、知識、自己決定、サービス活用等)を高めるよう自己決定することを支援するとともに、利用者のニーズに適合した多様な社会資源を利用者が活用できるように自己決定することを支援することである。ケアマネージャーは利用者をアセスメントする際、マイナス面をさがしがちであるが、利用者本人のストレングス(意欲・能力・嗜好・抱負・自信)に着目する必要がある。それをケアプランに反映させることで、利用者のQOLの向上が図られる。

今後の介護保険制度の改正では、大きなケアマネージャー改革が待っていると思われるが、利用者のニーズに合わせて利用者主体の仕事をしていってもらいたい。
そして、ケアマネージャーと地域包括支援センターが車の両輪となり、地域包括ケアの骨組みを創りあげていってほしい。
 
(アンケートまとめ)
1.本日の研修会はいかがでしたか。(回答数179人)
とても参考になった 113人(63%) 参考になった 64人(36%)
あまり参考にならなかった 0人(0%)   参考にならなかった 2人(1%)
2.研修会についての意見等(抜粋)
今後の要支援の方に対する対応の仕方に輪郭が出来た感じがします。
今後、地域ケア会議に参加します。また、地域包括支援センターに連絡して、開催して欲しいケースについて相談もしていこうと思います。
白澤先生の講演を初めて聴いたのが、在宅介護支援センターに勤め始めた20年近く前で、「ケアマネジメント」の考え方がとても衝動的だったのを覚えています。初心を忘れずに原点に戻って、ケアマネジャーとして適切な支援ができるように、地域包括ケアとの連携ができるように努めていきたいと思います。
今後、総合事業へ移行するにあたって、具体的な内容を聞くことができ、とても勉強になりました。利用者が地域で生活を続けていくために、そのストレングスを活かしながらケアマネジャーとしての業務にあたっていきたいと思います。
いつも白澤先生独特の切口でのお話しは聞いていてすっきりします。行政とのやり取りは一介のケアマネには難しいとは思いますが、地域の組織会や市の協議会を通して良い関係性が保たれればと思います。協議会でパブリックコメントをいつでも聞ける体制があると良いですね。
仕組みの中で、「何が大切なのか」「何を狙っていくのか」が分かり易く教えてもらいました。
ケアマネジメントが地域施策の一部であることが良く分かった。要支援利用者のヘルパー、デイサービス利用が介護保険から離れる事の説明にも役立てたい。
きめの細かいケアプランの作成を心がけたいと思います。
これからプランを立てる際、地域性等にも視点を向けて地域の中で生活しているんだと実感できるようなプランを作成できるように心掛けたいと思いました。
アセスメントからストレングスを引き出していくことが大切だと思った。今後の動向を分かりやすく教えて頂いたので、とても参考になった。
地域包括ケアで、社会資源の活用も必要だが、社会資源を作っていく、発見することは難しいと思った。
ストレングスモデル、要支援の方、再度考えさせられた。
マネジメントに対する本当の捉え方、意思感を学ぶことができました。今の社会の弱点も少し教えて頂いたので、次回はもっと詳しく聞きたいと感じています。
自立支援プランの根幹について丁寧な説明を頂き、改めて認識することができた。ケアマネジメントの考えを形作って来られた方だけに説得力のある理論的説明と感じた。
3.今後、参加してみたい研修のテーマやその他意見等(抜粋)
利用者の方と子または孫の間の金銭問題を抱えている。利用者の方の生活を守るためにできることを具体的な事例も踏まえて学びたい。成年後見人制度の導入の方法など。
ストレングスモデルでのケアマネジメントについて
生活保護
一般市民の方にケアマネジメントとはどう周知されるのか気になります。
ICTシステムの活用に関する内容
相談援助技術
医療との連携
予防ケアマネジメントについてを居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして受託する場合、今までのように地域包括支援センターから委託を受ける形でケアマネジメントするのか。事業者として総合事業にどのように関わっていったらよいのか。他の地域の事例を紹介していただきながら、予防総合事業について、これからのケアマネジャーのあるべき姿の手本になるものが欲しいです。
非該当者となる人の支援の仕方
パラサイトについて学びたい。
年金の研修。障害、厚生、遺族などを詳しくしてほしい。
マイスターの作る実物のケアプランを見せていただきたい。
身体障害者手帳、被爆者手帳を持っている方への対応や、その法律について