(総会・研修会報告)
「平成28年度総会及び研修会」
日時 平成28年6月23日(木)13:30〜16:00
場所 JMSアステールプラザ「中ホール」
参加者 208名


1.総会
(1) 開会
(2) 落久保会長挨拶
(3) 平成27年度事業報告
(4) 議事
  第1号議案 平成27年度決算について
第2号議案 平成28年度事業計画(案)について
第3号議案 平成28年度予算(案)について
第4号議案 役員の交代について
(5) 閉会

2.自主勉強会
講演  「地域包括ケアシステムにおけるプロフェッショナルなケアマネジャーとは」
講師  一般社団法人 日本ケアマネジメント学会
 副理事長 竹内 孝仁 氏

「地域包括ケアシステムにおけるプロフェッショナルなケアマネジャーとは」と題して、竹内孝仁氏にご講演頂いた。以下はその要旨である。

現在、国は今後のケアマネジメント制度について厚生労働省に介護支援専門官を置き、検討を行っている。その検討の軸は「現在のケアマネジメントが真に利用者の益になっているか」という事である。

介護保険法では「自立支援を目指す」ということが明確に謳われている。
「自立支援型ケアマネジメント」が実行されているのか?国は実行されていないと思うから廃止も視野に入れて見直しをしようとしているのではないか。その内容は
1、アセスメントができていない
2、サービス間の連携ができていない
3、医療との連携ができていない
ということである。

アセスメントについて74歳女性の事例で説明された。
「夏に肺炎にかかり3週間入院した。入院による体力低下から家事困難になり、MSWの勧めで介護保険を申請(要支援)。ケアマネジャーは家事援助を週2回、地域の配食サービス(毎日)を計画した。半年後の要介護認定で要介護2となり、外出は車椅子を使うようになった。」

半年で、要支援から要介護2に悪化してしまっている。自立支援型ケアマネジメントができていないからである。アセスメントは「自立支援のためのニーズを特定すること」である。3週間の入院で低下してしまった体力を回復させるために何が必要なのかという情報を集めなければいけない。
@食事・水分はどのくらいとれているのか
A嚥下・歯・口腔ケアの状態はどうなのか
(夏に肺炎になったという事は脱水から誤嚥性肺炎になった疑いあり)
B経済状況はどうか?
C社会交流の状況は?

このままで3か月後、この人はどうなるのか?と考える癖をつける。もし悪化しそうだったらどうすれば良くなるのかを明らかにしていく必要がある。
「高齢者は悪化して当たり前」という考えは根拠が無い。90歳まで生きてきた人は本来元気な人。「高齢者は自立しやすい」が常識。
平成30年改定でケアマネジャーを残したい。そして、次の3年で自立支援型のケアマネジメントを建て直し、普及させていきたい、と結ばれた。

広島のケアマネジャーは認定ケアマネも多く、熱気を感じる。この熱気を嬉しく思う。ぜひ、しっかり学んで前進し続けてほしい、と激励を頂いた。
 
(アンケートまとめ)
1.本日の研修会はいかがでしたか。(回答数187人)
とても参考になった 154人(82%) 参考になった 31人(17%)
あまり参考にならなかった 0人(0%)   参考にならなかった 2人(1%)
2.研修会についての意見等(抜粋)
自立支援について改めて考えることができました。丁寧にアセスメント、ニーズを考えていこうと思います。
高齢だから仕方ないのではなく、高齢だからできる、向上できることを勉強できました。
ケアマネ廃止の議論に危機感を覚えた。自分の業務の見直しをしたいと思った。
話を伺いながらアセスメントがいかに重要かの再認識をすることができた。着眼点も細かくすることでニーズの引き出しが増やせると思います。
本当の自立支援に向けてのアセスメントが必要と痛感しました。
自立支援、わかっているようでわかっていなかったという事がわかりました。とても勉強になりました。
介護保険の本来の意味をしっかりかみしめる事ができた。
ケアマネの役割がなくなる可能性の危機感は、皆が深から危機感を持ち行動に移していかなければならない。相手が望む事に従うばかりのプランでなく、3ヶ月後に視点をおき自立に向けたその人に何が必要なのか?というニーズに着目したプランを、専門性を持ってたてていく事の重大さ。利用者様の一生を担っている使命を持って行動する。
きれいごとでなく、わかりやすかったです。またお願いします。ぜひ勉強したいです。
アセスメントの取り方を本日の研修を生かしてもう少し工夫してみたいと感じました。ショッキングな内容もありましたが、竹内先生の講義はおもしろかったです。
アセスメントに関しては、ただ情報を集めてシートに空白がないように考えているだけでした。どの利用者様でもまずは自立支援を念頭におき、日々業務へ活かしていきたいと感じました。
本人が自立した生活を送っていけるようなケアマネジメントを行っていきたい。その為に専門的な勉強を積極的にしたい。
切り口が鋭く、大変楽しい講演でした。
新しい事を勉強することを常に意識しながら「自立支援」の為のプランが作れるケアマネになれるようにしたい。
ケアマネジャーに対する厳しい内容であったが、現実的にそれだけ役割を果たせていないのだと痛感しました。基本的なアセスメントから考えを見直し、自立に資するマネジメントを行いたいと思う。
予後予測を行い、本当の自立支援を行うことの大切さを教えてもらいました。危機感を持って頑張りたい。
日々の業務を振り返ることができました。
このようなケアマネジメントの学習の機会をいただけて感謝します。
ケアマネジメントの真の姿を知り、目からウロコでした。
自分の仕事で人の人生が変わるおそろしさと我が身の仕事の重要性を再認識しました。
3.今後、参加してみたい研修のテーマやその他意見等(抜粋)
在宅医療、介護の連携に積極的なドクターの方との研修
地域包括ケアシステムの実践に向けて取り組み事例を紹介する研修
再度、竹内先生の講演を聞きたい
課題分析統括表について
ケアマネジメントシステムと人権擁護
事例検討(本日のような考え方のもの)
スーパーバイザーの研修
リハビリについて
根拠に基づくケアマネジメントプロセス
自立支援型ケアマネジメントの仕方
来年度から始まる総合事業について広島市がどのように考えているのか、進捗状況が知りたい。具体的にどうなっているのか教えて欲しい。
認知症、精神疾患高齢者への支援
自立支援型ケアプランについて
アセスメントについて詳しく
社会資源(地域の)に関すること
原爆を持っている方に関する制度
障害手帳を持っている方が介護保険の利用に移行したときの制度の違いについて
自立型ケアプランの作成事例研修等、自立に向けての考え方等繰返し研修を開いて欲しい
ケアマネジメントの学習
介護支援専門員の処遇改善も考えてもらいたい