(研修会報告)
テーマ 第1回居宅介護支援事業者研修会
日時 令和3年3月25日(木)14:00〜15:40
開催方法 WEB開催
参加者 117名
講演 介護報酬改定について
〜介護支援専門員と保険者の協働による地域づくり〜
講師 厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課 人材研修係
田 陽介 氏
研修内容 1.介護報酬改定の改定率について(全サービス共通事項)

@ 令和3年度報酬改定の概要
改定率+0.7パーセント

A 感染症や災害への対応力強化

  • 日頃からの備えと業務継続に向けた取組の推進
  • 感染症対策の強化・業務継続に向けた取組の強化・災害への地域と連携した対応の強化

B ハラスメント対策の強化

  • 介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化

C 会議や多職種におけるICTの活用

  • 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイダンス」及び「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を参考にして、テレビ電話等 を活用しての実施を認める
  • サービス担当者会議は、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器を活用

D 文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進

  • 署名・押印の見直し、電磁記録のよる保存等

E 高齢者虐待防止の推進

  • 3年の経過措置

2.令和3年度報酬改定(居宅介護支援に関わるもの)

〇 居宅介護支援・介護予防支援 基本報酬

〇 改定事項

@ 質の高いケアマネジメントの推進(特定事業所加算の見直し等)

A 逓減制の見直し
(情報通信機器、事務職員の配置)

B 医療機関と情報連携の強化

C 看取り期におけるサービス利用前の相談・調整等に係る評価

D 介護予防支援の充実

(委託が進むように)

〇 平成30年度の介護報酬改定の概要(居宅介護支援)
(公正中立なケアマネジメントの確保)

〇 利用者の権利の保護について
(文書の交付、口頭での説明、利用者から署名を得る事)

3.業務の質を高める取組
  • 業務の効率化を進める取組

〇 令和2年度 老人保健健康増進等事業(ケアマネジャー関連)

〇 居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業

(主な調査項目)

  • 契約手続き
  • ケアマネジメントプロセス
  • 書類の保管
  • 暫定ケアプラン
  • ケアプランの軽微な変更について

〇 適切なケアマネジメント手法の策定に向けた調査研究事業

〇 ホワイトボックス型AIによるケアプラン作成支援に関する調査研究

4.介護支援専門員と保険者の協働による地域づくり(一市町村職員の思い)
  • 武蔵野市の場合
    「まちぐるみの支え合い」の仕組みづくり
    自助・共助・公助
  • 財源の説明、理解の重要性
  • 地域包括ケアに関わる人達が皆「主体性」をもった上で・・・「協働」
    協働…複数の主体が、何らかの目標を共有し、ともに力を合わせて協働すること
  • 過誤処理をさせることが目的、ではない
    指導監査は、「適切に運用されていること」を確認する場
  • 2年間の厚生労働省への派遣研修を経験して、感じた事
    報酬改定に関する、国の考え方。取組手法
    市町村との関係作りの濃淡の差が思ったよりも大きい
    利用者負担導入に関する議論
5.最後に

国、都道府県、市町村とともに、より良い制度に、より高齢者にとって暮らしやすい社会となるよう、ともに歩んでいきましょう。

(研修会アンケートまとめ)
問1 本日の研修会の内容はいかがでしたか。(回答数113人)
とても参考になった 55人(48.7%) 参考になった 57人(50.4%)
あまり参考にならなかった 1人(0.9%)   参考にならなかった 0人(0.0%)
意見等(抜粋)
  • これまでのケアマネジャーにとっての負担軽減、AIの導入がケアマネ不要の流れ、と受け止めてしまうことが多かったですが、ケアマネジャーの存在が利用者の自立支援に必要な職種であることを前提とした講義で、ケアマネジャーに期待される役割、するべきことが理解できました。
  • 今回の報酬改定は社会問題となっている災害や感染症、高齢者の増加に対応していかなくてはならない対策が盛り込まれている。これからのケアマネジメントに求められているものは社会状況を考慮しながら、科学的な評価に基づいたサービスの提供が必要ということが分かった。
  • 講義の内容、資料、どれも分かりやすかったです。報酬改定に関しては数回、セミナーや研修を受けましたが、いま一つ理解出来ず、不安でした。今回は項目ごと丁寧に説明してくださったので、とても勉強になりました。ありがとうございました。
  • 令和3年度の報酬改定の内容(特に居宅介護に関する内容)を理解することが出来たと思います。特に、「退院時情報提供加算」に関する内容については、研修後の質疑応答でもお話しいただいたこともあり、居宅サービス計画等への記録と共に、医師との情報共有に関する注意点等も参考にした上で、自事業所内でも情報提供をしていきたいと思います。
  • 集団指導後の居宅介護支援を中心の研修でしたので、良く理解出来ました。新たに新設された特定事業所加算Aの要件についても確認でき、参考になりました。ありがとうございました。
  • 感染症や災害が発生した時の介護サービスの提供継続について、誰かと一緒に体制の構築をしていけば良いか見当がつきました。
  • 保険者の思いがとても伝わりました。今後は保険者と協働するという意識を持ち、日頃からコミュニケーションを取っていきたいと思いました。
  • 先生の話し方がとても聞き取りやすく、もともと一般企業や市役所で働いておられたことでケアマネの立ち位置も理解しておられ、厚生労働省にも、このような気持ちの分かる方々がいらっしゃるんだと思おうと安心しました。国の仕組みが机上の空論とならないように実務経験や日ごろ介護保険等で直接かかわりのある方々の厚生労働省への出向をどんどん続けて、介護保険が継続性もあり現場も困らない仕組みであり続けてほしいと思います。
  • 居宅介護支援事業所が注意しておかなければいけない事項、3年の経過措置があるものの、早急に取り組み準備していかなければいけないと感じました。特定事業所加算を算定する際のインフォーマルサービスの位置づけについて詳細な説明があり、とても参考になりました。行政との関係性を良くし、わからないことは聞く!を実践していきたいと思います。
  • 感染症や災害への対応力強化のため、指針の整備、研修の実施、訓練の実施等が義務づけられ、また新型コロナウイルス感染症発生時のガイドラインを作成しなければいけない。3年の経過措置はありますが、準備しておく必要があるので、大変参考になりました。
  • 厚生労働省の立場、市町村職員としての立場からのお話があり、身近に感じられ、とてもわかりやすく説明してくださり、勉強になりました。まだまだ理解していかなければならない事が多くありますが、今回の研修の内容を活かしていきたいです。
  • ポイントの説明がわかりやすかった。行政側の方の思いが伝わり、今後は市職員ともパートナーシップを築きたいと思った。
  • 当事業所は半数を占めている1人あたり利用者数が30人に満たない事業所であり、これまで特定事業所加算とは無縁と考えていたが、算定要件を見直すきっかけをいただきました。同時に質の高いケアマネジメントに結び付くのではと期待しながら研究してみようと考えています。
  • 詳しく知りたかったので、もっと時間が長くても良かった。
  • 介護報酬改定についての他に、実際働いている方から協働による地域づくりの話も聞くことができて良かったです。
  • 介護報酬改定の居宅介護支援について説明していただき、参考になりました。今後、Q&Aがでてからだと思いますが、もう少し具体的に加算の解釈や必要要件について知りたいと思いました。
問2 オンライン形式による研修会はいかがでしたか。(回答数112人)
とても良かった 52人(46.4%) 良かった 52人(46.4%)
普通 7人(6.3%)   あまり良くなかった 1人(0.9%)
意見等(抜粋)
  • 移動時間の短縮になるため今後もオンライン形式の研修を増やしていただけるとありがたいです。
  • 新型コロナウイルス感染予防のこともあり、オンライン形式による研修会は良かったと思います。会場に行く時間もかからないため、研修にも参加しやすいと思います。
  • 会場までの移動時間がなく、受けやすかった。職場での受講になるので、電話がかかってきたり、来客があったり研修に集中しにくい面もあった。
  • 移動による交通事故のリスク回避、何より時間管理がしやすい。
  • 問題なく参加できました。移動もなく感染予防にもなるため、継続してほしいです。今後もこの様式で行ってほしい。
  • 聞き取りやすく、集中して話が聞けるのでとても良いと思う。手元の資料とともに、パソコン上でも大きく資料が見られるので、わかりやすい。
  • 交通費や駐車場探し等がないので、大変助かります。声が直接聞けるので分かりやすかったです。画面の資料が見やすかったです。移動時間が必要ないので助かりました。
  • 移動時間がなく時間を有効に使える。経費節減になる。
  • まわりの環境の影響を受けることなく集中できたので、内容をしっかり聞くことができた。職場でヘッドホンで聞き続けるので、少々疲労感がありました。
  • 場所を選ばず参加できるので良い。感染症対策としてだけでなく、平常時でも活用したらいいと思う。
  • カメラのないパソコンで研修参加していたのですが、生涯学習の単位がもらえないのは始めから分かってはいるのですが、みんながカメラ付きのパソコンで参加できるわけではないと思うので、何か他の方法がないのかなとは思います。このご時世しかないとは思いつつ‥
  • 資料をプリントアウトする負担がデメリットと思う。
  • 事業所内で出来るのがありがたいです。現地に交通機関で行く手間を考えると時間と費用の省略になるので、設備が整っていれば参加しやすくなると思います。ただ、他の居宅と研修後の意見交換ができないのが残念です。
  • 資料の見やすさはオンライン研修ならではのものと思いました。
  • 今後もこのような形式の研修が増えてくると思うので、オンラインに対応できるよう、パソコンなどの機械になれる必要があると思いました。
  • 今回のように講師と会長が対話するような感じであれば、聴講していても受け入れやすいですが、中には講師が棒読みをするような研修はメリハリがなく辛く感じるときがあります。しかし、オンライン形式に慣れる必要があると感じています。
  • 感染の心配もなく、会場への移動時間もないので、とても良い。講師の先生の表情も分かり良かったです。今までで一番良い研修でした。
  • 自分自身がまだオンライン(ZOOM)の取り扱いに慣れていなかったこともあり、予定通り研修に参加できるか不安でしたが、思ったよりもスムーズに参加出来たと思います。そして、聞き取りにくさ等もなく、不都合なこともなかったと思います。
  • このコロナ禍、なるべく他者と接点を持ちたくないと思っているところであるが、やはり新しい情報は知りたい。となると、オンラインの研修はとても便利である。オンラインだと会場に行かなくて良いので、時間もかなり日常の仕事につかえたりするので、その点でも良いと思う。ただ、他事業所のケアマネさんと簡単な意見交換や情報交換、顔見知りができないのは寂しい気がする。
問3 今後、参加してみたい研修のテーマやその他意見等(抜粋)
  • BCP対策と計画策定について
  • 若年性認知症について
  • 成年後見の導入について
  • まだ詳細が不明な点が多いので、解釈通知が出た後の今回の報酬改定の解説も聞きたいと思った。
  • 介護保険改訂についての広島市からの詳細かつ具体的な説明が聞きたい。
  • 改正後のQ&Aについて研修にて説明を受けたい。
  • 介護保険改正に伴い、居宅介護支援事業所での運営規程・重要事項説明書・契約書など、どのように変更したらいいか見本など示してもらうと助かります。
  • 具体的な支援方法・仕方など(退院時のカンファレンスなどで確認すべき点や加算請求の仕方など)。
  • 居宅として独立して採算がとれるような手法など。
  • 災害対策、新型コロナウイルス感染症の取り組み方について。
  • 介護支援専門員の基礎知識について。
  • 医療との連携、多職種協働の必要性。
  • ICTがどんどん活用される中で、ケアマネの業務で時間や負担の大きい記録の保管方法や実地指導への証拠残しについて、他のサービス(福祉用具や訪問系)などはペーパーレスやICT化がうまくいっていると感じるが、ケアマネ業務についてのICT化による効率化のアドバイスや実践例などが知りたいです。
  • 今後の医療、福祉のあり方、4月以降の介護報酬改定の影響、ケアマネジメントの動向について取り上げてほしいです。また、報酬改定の結果、利用者様等の負担がどう変化したのか知りたいです。
  • レビー小体型認知症、パーキンソン病患者への家族を含めての支援の方法を学びたい。
  • 疾患別のケアマネジメントの標準化手法について。
  • この度、通所でも新しい加算が出来ているので、色々加算要件など、伺えたらと思います。
  • 介護保険部会や給付費分科会、財政制度等審議会等の介護保険制度に関する関係機関の内容を理解出来るための研修等があればうれしいです。常日頃、自分でも厚労省HP等の情報についてはチェックしているのですが、そういった各機関自体の内容等の理解を深めることが出来る機会がほしいです。