(総会・研修会報告)
居宅介護支援事業者研修会 第3回居宅介護支援事業者研修会
日時 令和4年3月10日(木)15:00〜16:40
開催方法 オンライン開催
参加者 258名
講演   「居宅介護支援事業所の目指すべき方向性」
〜適切なケアマネジメントと科学的介護への対応〜
講師 厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課長  
笹子 宗一郎 氏
ケアマネジメント
  • 介護支援専門員は介護保険法において他サービスに先駆けて表記されている。これは立法府が介護支援専門員に期待している表れである。
  • 介護保険法は住み慣れた地域で尊厳を持って生活していく本人・家族の為の制度であり、それを具現化するのがケアマネジメントプロセス。的確なニーズ把握、適切な利用者理解で本人の意欲を引き出せるような支援を。
  • 縦割りを廃して多様なサービスや他分野との共同(地域共生等)は不可欠。医療介護の連携はもちろん他産業との共同など広域的な視点も今後必要となる。
  • ICTの活用は必須。導入自体が目的とならないようにしっかり活用を。計画書や提供票のやりとりなど電子化システムを今後構築予定。他事業所のデータをどう活用するか、ケアマネジメントの質って何だろうか、と考える視点は必要。将来的にはエビデンスも求められる。導入については令和5年度までとなっているICT導入支援事業の活用を。
  • 次回改定でのケアマネジメントにおけるLIFEの活用に向け、今年度検証を行った。来年度も実施する。LIFEの活用に向けては行政・研究者にとどまらず民間企業等へ情報提供することで幅広い利活用を推進していく。
  • 居宅介護支援への利用者負担導入については、財務省から強い声はあるが積極的に進めているわけではない。
  • 適切なケアマネジメントプロセスの導入の狙いは、生活の継続を支えるうえでの視点の抜け漏れ防止と多職種連携の円滑化。知見と根拠に基づく仮説を持ち、支援内容の検討・具体化を図る方法。今後もパンフレットの活用で周知拡大を図っていきたい。今後は疾患別以外のプロセスも検討予定。
  • 介護支援専門員研修オンライン化について、令和5年度からの実施に向け今年度から予算を確保し構築していく。
地域づくり
  • 目的は、高齢者が“支えられる”“弱い立場”にならないように、元気なころから様々な取り組みや社会参加を通じ健康寿命を延ばすこと
  • 介護支援専門員には地域資源を育てていく視点も持ってほしい。
  • 認知症施策については本人・家族の意見を踏まえながら官民一体となって地域を支える仕組みづくりが大切。
  • 地域づくりはどの省庁でも課題。地域特性に応じた社会資源の発掘・創出を。交流=通所サービスではなく本人の生きがいづくりを重視して。社会参画の為の補助金もある。
    例)高齢者生きがい活動促進事業、ボランティアポイントの活用、事務お助け隊など
  • 各省庁における地域づくり支援施策の紹介。
その他
  • 災害対策基本法等の一部を改正する法律 (個別避難計画の努力義務化)
    →避難行動要支援者個別避難計画の策定へ介護支援専門員へも協力依頼。
  • ヤングケアラー支援強化体制事業、子育て世帯訪問支援臨時特例事業
    →研修に盛り込むなどして全体の課題として取り組んでいく。支援につながるように協力をお願いしたい。
  • 2025年医療と介護ダブル改定について
    →令和4年末を目途に厚労省でも大まかな方針が出される予定。ディスカッションをしていきたい。
(アンケートまとめ)
1.本日の研修会の内容はいかがでしたか。(回答数176人)
とても参考になった 86人(48.9%) 参考になった 80人(45.4%)
ふつう 10人(5.7%)   あまり参考にならなかった 0人(0.0%)
参考にならなかった 0人(0.0%)    
意見等(抜粋)
  • 次回改正に向けての全体的な流れが理解できた。かかり増し経費や介護人材確保、ICT導入支援事業について知ることができた。LIFEのデータ活用に向けて、ICTを活用して業務を効率化する必要があることやBCPと連動した個別避難計画への参加など、居宅介護支援事業所の役割についてイメージがおぼろげながら見えたように思う。
  • ICTの導入により事業所間のやり取りが円滑になると想像できました。
  • 地域づくりの大切さは以前から感じており、地域支援事業について興味深く拝聴しました。
  • これからは、介護業界でもICT化を進めていく必要があり、的確なニーズ把握は感覚ではなく、データに基づいて行うようにすること。居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間のケアプランのやりとりにケアプランデータ連携システムを構築していくというところは興味深かった。
  • LIFEが動いている事は把握していたが、施設や通所系が併設していない居宅なので、LIFEで集約されたデータがどのように使われているのか、蚊帳の外の印象があった。今回の研修で、今後の流れが大まかではあるが分かった。また、多岐にわたる情報もあり、参考になった。
  • LIFEに関する今後の居宅介護支援との関係性を整理することが出来た。また、「適切なケアマネジメントの手法」については、今後実践の中で活用したいと思っていたので、これからも研修等で理解していきたいと思う。
  • 厚労省老健局の課長から、直接ケアマネジメントについて今後の動向も含めてお話を聞くことが出来きる、とても良い機会だったと思う。
  • 今後のマネジメントにおいても、事業所の運営に役立てていきたい。また、今後の制度改正などについても、引き続き注視していきたい。
  • ケアマネジメントをめぐる最近の動きを、自身の現状と、これからの課題について振り返ることができました。地域ケアシステムには数々の課題がありますが、自身も地域の一員として、住みやすい街づくりができるように・・いきなり大きな課題に向き合うのではなく、足元にある小さな課題に向き合っていきたいと痛感しました。
  • 介護支援専門員としてケアマネジメントの振り返りや、行政の取り組み、今後の課題について知ることができた。コロナ禍において各関係機関との調整や見える関係づくりが難しい中、必要に応じてITの活用も望ましいと改めて思えた。
  • 科学的介護とケアマネジメントの質の向上の関係性を知れた。また、ヤングケアラーの課題、地域包括ケアシステムへの有効性もデータが活用できる方向性を知れた。
  • 適切なケアマネジメントには多様なサービスや他分野の活用も視点にして、今ある資源の活用や広域的視点が必要である。地域生活は専門職だけで支えるわけではない。社会参加や社会的支援は健康と強く関連している。生涯を通じて社会的包摂を推進すべき。
  • 生産性向上の取り組みの一つとしてケアプラン等の文書を各事業所間とデータ連携がとれると全てにおいて効率化につながるためできれば早急に実施したいと思いました。
  • 補助金や様々な事業のサポートがある事を知らなかったので、とても勉強になりました。ライフからケアプランにつなげる事や災害の避難場所についてのマニュアルはほとんどできていないので検討しなければいけないと感じました。
  • AIの導入や介護保険にかかる介護支援専門員の負担額など話題に上がるたび、我々介護支援専門員の存在意義が問われていると実感することが多くなった。
  • 冒頭の定義において改めて身の引き締まる思いがした。新たな問題も多々ある中、今話題のヤングケアラーについても社会的に認知され対応することが必要と思った。
  • ケアマネジメントは介護保険や医療介護専門職だけでなく、地域も関わることが今後ますます重要になっていくと改めて思いました。また、データの活用も今後重要になっていくので、アナログだからと敬遠せず関わっていきたいと思います。
  • 過疎化の進む地域では都市部で通常に受けられるサービスも困窮しています。制度にとらわれない制度の視点にとらわれない地域の共生。居宅介護支援事業所も、様々な関係機関と顔の見える関係になり、互いに支えられる地域づくりを地域包括支援センターと共同して行っていきたいと思いました。
  • 地域包括ケアシステムの中で利用者が自立した日常生活を営むためには地域の特色を生かした独自の地域資源を活用する力を作る必要がある。
  • ICT導入支援事業での業務効率化を心待ちにしています。
  • 笹子課長は、語られる内容の背後に膨大な情報をお持ちなのだと推察されるようで、幼いものにもわかりやすい語り口でした。参加させていただいたこと感謝です。
  • 広島市域の事業者の方と一緒に研修会に参加できてよかったです。また、いろいろな取り組みについても政策が知れて良かったです。
  • 質問されていたように現場まで届いていない情報があると思います。日頃から感じていたことなので行政の方に知ってもらうことができて良かったです。
2.オンライン形式による研修会はいかがでしたか。
とても参考になった 97人(55.1%) 参考になった 73人(41.5%)
ふつう 6人(3.4%)   あまり参考にならなかった 0人(0.0%)
参考にならなかった 0人(0.0%)    
意見等(抜粋)
  • オンラインは周りを気にしなくていいし、講師の方の顔も近くで拝見できて集中できます。
  • オンライン形式の研修は、移動時間がないメリットと講師との対面的な感覚がよいと思います。ただ、質問をしにくい面があり、これも今後慣れていくことが受ける側の課題、姿勢なのではと感じております。
  • 遠方の事業所としては時間の有効活用ができ、とても助かります。
  • 会場に行く負担がないことで、自分含め250人を超える人が参加できたと思うので、コロナ禍だからこそできるようになったことや改善できることも多いと感じました。
  • 移動時間の削減になるため、日々の業務にあまり差し支えがなく時間を有効活用することができる。環境整備を自身の責任でできるため、講義に集中しやすい。その一方で他介護支援専門員の方と関わる機会が減り、空気間、日頃の様子や何気ないコミュニケーションが図れなくなっている。
3.今後、参加してみたいと思われる研修のテーマやその他ご意見等
  • 科学的介護の結果や情報
  • 2025年法改正に向けた具体的な方向性
  • ケアマネと法律問題
  • 面接技法等や困難事例の対応方法
  • 介護する側が抱える問題や課題について(ヤングケアラーや、8050問題などその現状や連携方法について)
  • 適切なケアマネジメントの手法についての研修、ACP、BCP
  • ケアマネジャーとして、知っておくべき公的な制度、支援方法、コロナに対しての制度など
  • 医療と介護との連携や地域との活用方法等、在宅での看取り
  • 今後の医療保険、介護保険制度の方向性
  • LIFEデータを活用した事業所との連携について
  • 地域ネットワークや社会資源と(居宅を含む)介護事業所との連携について
  • コロナ感染、災害、ヤングケアラーの事例紹介
  • ケアマネの視点からのLIFE活用術(利用者の思いとのすり合わせ)
  • メンタルヘルス(支援者)・ハラスメント
  • 成年後見制度・色々な障害者手帳・重度医療について
  • ターミナルケアにおける介護支援専門の役割について
  • 自己決定支援について
  • ケアマネの元気が出る研修
  • 地域のインフォーマルサービスを利用したけケアプラン作成について
  • 介護請求について、国保連の方からの研修があれば参加したい。ライフについても同様。
  • 居宅介護支援事業所としてのICT、データ等の連携、地域づくり、ケアマネが行えること等
  • ICTの導入と生産性の向上
  • 精神疾患や難病、身体障害者の家族の支援について