(総会・研修会報告)
「令和4年度総会及び自主研修会」
日時 令和4年7月21日(木)14:30〜16:30
開催方法 オンライン開催
参加者 36名

1.総会
(1) 開会
(2) 落久保会長挨拶
(3) 令和3年度事業報告
(4) 議事
  第1号議案 令和3年度決算について
第2号議案 令和4年度事業計画(案)について
第3号議案 令和4年度予算(案)について
第4号議案 役員の交代について
(5) 閉会

2.自主研修会
講演  「ケアマネジメントにおける実践上の倫理」
講師  国際医療福祉大学大学院 教授 石山 麗子 氏

1、介護支援専門員の倫理の学習をめぐる動向
法廷研修の中で倫理の取り扱いはどうであったか、研修カリキュラムの改正が予定されている。倫理に関する研修内容が実務研修で三時間(プラス一時間) 専門Tで四時間(プラス二時間)・専門Uで二時間・主任研修で二時間・主任更新研修で二時間(新設) 個人がもっている倫理が高ければ高いほど、高い専門性をもっている。どのように人として介護者にかかわるか、倫理的価値が大切となる。 医療(介護)倫理とは科学と哲学という双子の学問による精緻な検査を受けること 科学=LIFE・哲学=倫理 成果をしっかりみていかなくてはいけないが、礎として倫理をもっておくべきである

 

2、倫理とはなにか、なぜ倫理は必要か

・道徳感は成長する過程で発達していく。人は常に成長していくので10年前の道徳観が変化しているものであり一定であり続けることはない。個人の良心、内面の価値であり他者とのスムーズな関係性を築いていく上で守るべき善い行為

 

・法 公表されている介護保険法のもとで指定サービスとして職務遂行している。法律事項に違反をしていたら制裁を受ける。

 

・倫理 倫=仲間内 理=ことわり
法より広い概念をもち高い行動基準をもつ。普段は取り扱っていないのではないかと 思われるが高齢者の生活に向き合っていくと、日々人間の価値観の調整が必要となってくる。介護支援専門員は実践を通して常に考え価値を調整していかないといけない専門性の高い職である。

 

3、事例で考える実践倫理
利用者の意向を尊重する。それがよい判断であるかどうか、利用者の意思・自立尊重と多職種の考えに相違が生まれたとき判断を悩む。その時、根底にある倫理観が必要となる。倫理的にプロセスをチェックしていくことが大切。 介護支援専門員は倫理について公言宣言している。我々はどのように考え行動していくべきか。 プロフェッショナルの言源はプロフェス(宣言する・公言する)。高度な知識を高い志をもち社会の利益となるように誓って行動していくように学んできた者である。 実践の中でいろんな葛藤がうまれる場面に出くわす。その構造を理解し何に疑問を感じているのか注目し倫理的課題にはオープンクエスチョンで問う。問われることで伝えようとする意識がより具体的に考え言語化することにつながる。仲間内で言いあえるかといった関係性がとても大切。「何か違う」といった倫理的感受性に評価しあえて時間をとらないといけない。 寄り添うということは難しい、だからこそ考え続ける。答えは一つしかないようにみえても解決策がないようにみえても考え続ける。経験年数が長いほど葛藤をとばしてしまう。考えることをしなくなると次第に倫理的感受性が失われていく。 科学が全面的に出てきている今、一つの専門職として科学と倫理、双子の学問として考え続け生じた価値の葛藤を調整していく大変な仕事である。

(アンケートまとめ)
1.本日の研修会の内容はいかがでしたか。(回答数27人)
とても参考になった 23人(85.2%) 参考になった 4人(14.8%)
普通 0人(0.0%)   あまり参考にならなかった 0人(0.0%)
参考にならなかった 0人(0.0%)    
意見等(抜粋)
  • 意見があっても口に出せない人もいるので意見を聞くことも必要。
  • とても難しい内容だと感じましたが、石山先生のわかりやすい説明と、お話や内容がとても深く、丁寧で、とても興味深く聞かせて頂きました。素晴らしい講演をありがとうございました。
  • 倫理というものについて、改めて考える機会となりました。業務経験が長くなるにつれて、倫理について意識することがなくなっていたように思います。
  • 利用者との関わりの中で日々心の葛藤があります。今回の研修に参加し、葛藤したり、もやもやする思いを抱くことが必要であり、そのことで新しい気づきや次のステップに進めることが理解でき、自分の気持ちが少し楽になりました。
  • ケアマネジャーが知っておくべき倫理について、とてもよく理解できました。
  • 研修ありがとうございました。倫理についていろいろ考える事が出来ました。
  • ケアマネジャーとしての倫理観と個人としての道徳観のはざまで迷う事があるが、迷いや葛藤は大切なことと聞き、安心した。
  • 相手の意見は聞き手の聞き方によって大きく変わってくると思った。研修では新人ケアマネと先輩ケアマネだったが、ケアマネと利用者でも同じ様にケアマネが利用者の思いをいかに利用者本位で聞き取れるかが大切になると感じた。
  • この度の研修、自主勉強会に参加しとても勉強になりました。倫理学をもっと学びたい気持ちになり、又今後の日々の業務で実践を意識しながらケアマネジメントを行って行こうと強く思いました。
  • 普段聞けない内容を学ぶことができ、良かったと思います。
  • 石山先生の話は分かりやすく実践に活かしやすく感じた。自分や他のケアマネジャーが立ち止まり腑に落ちずに困っていたことが倫理的問題だったのかもしれないと感じた。自分たちが倫理を大切にし、利用者に寄り添えるよう努めたい。
  • 普段あまり意識していないところでありながら、大変重要な内容であったと思いました。 口先だけで倫理を諳んじるのではなく、実践のなかに培われたものでないとならないことを再確認させて頂いたと感謝しております。
  • いつもわかりやすく、丁寧に説明いただき、学びとなります。考え続けてもいいんだと気持ちも楽になりました。今日からの業務に生かしていきます。
  • 「道徳」「法」「倫理」の違いが整理できました。ケアマネジャーの「倫理」についてわかり易く、共感できました。実践倫理(利用者の尊厳重視の視点)について「継続して考える」気持ちを持ち続けます。
  • 倫理というわかっているようでわかりにくいことについて、少しわかったように思います。ただ、まだ説明できるほどではありませんが。「何か違う」と思う感受性を無視せず受け止めることが倫理につながることは、倫理を持って仕事に取り組むということになると思いました。
  • 倫理という意味が具体的に理解できました。(曖昧だった部分がすっきりしました。)
  • 主任介護支援専門員として、新人介護支援専門員への具体的な事例により自分も気を付けようと改めて感じました。
  • とても難しいテーマですが、事例を通してわかりやすく理解する事が出来ました。 主任CMとして新人CMから相談を受けた場合に、その新人CMがどう思い、どう感じたのか、どうしたら良いと思うか等具体的に考えてもらう事が出来るように、共感のみではなく、その悩みの構造を把握・理解して思考の言語化に繋がるように指導が出来ればと思います。
  • 倫理は行動の基本原理として大切な事と思います。答えが見えない時考え続ける事が大事、皆の意見が一致しなくても考え続ける、など、考えることの大切さがわかりました。
  • 「何か違う」という気持ちを大切に、倫理的感受性を忘れないように支援をしていきたいと思った。考え続けることを止めないようにしたい。
2.オンライン形式による研修会はいかがでしたか。(回答数27人)
とても良かった 12人(44.4%) 良かった 11人(40.7%)
普通 4人(14.8%)   あまり良くなかった 0人(0.0%)
良くなかった 0人(0.0%)    
意見等(抜粋)
  • 本来であれば対面での研修会ですが、コロナ禍でZoom研修になじみが出来、グループワークにもずいぶんなれることが出来、新たな形でどこでも受講環境さえ整えば参加できるメリットは大きいと思います。
  • コロナ感染拡大状況が続いている中で、このようなオンラインでの参加にも慣れてきたと思っています。
  • 会場までの移動がなく、感染症リスクも低いので、オンライン研修はありがたい。
  • 感染者も増えておりオンライン研修のため安心して参加する事ができた。ブレイクアウトルームも少人数設定で会話がしやすかった
  • 他事業所のケママネの方々と意見交換ができ、ベテランケアマネさんと私と同じくらいの職歴の方と同じグループになり、事例の新人ケアマネの感じた違和感を共感したり、相手に伝える、表現する難しさだったりを職歴の違う方々と視点の違う意見を聞けて良かった。
  • グループワークの時間とグループの人数を検討して頂きたいと思います。
  • 遠いところに研修に行かなくてはいけないより手軽に学ぶことが出来るので助かります。 またコロナが拡大しているので集合は不安です。
  • ブレイクアウトルームは、毎回緊張してしまいます。同じグループの方に救われました。
  • 研修会場に足を運ぶ時間が節約できるという点で、業務の効率化に繋がります。また、このご時世なので、感染対策にも繋がるかと思います。ただ、zoomミーティングの使用方法がわからない方もおられる為、ICT活用(zoomの操作方法)等の研修も必要なのではと思いました。
3.今後、参加してみたい研修のテーマやその他意見等(抜粋)
  • 機会があればテーマ問わず、勉強させて頂きたいです。
  • リスクマネジメント研修。
  • 原爆や重度医療、生活保護等の制度について
  • マネジメントの実務的な内容ではなく、事業所運営に資する内容があれば参加してみたいと思います。例)職員のマネジメント等
  • また、石山先生の講義を受けたいです。
  • 今回の研修はとても参考になりましたので、「倫理」についての他の学者さんの研修も受けてみたいです。
  • 支援困難事例への対応。成年後見制度の利用。
  • 居宅の運営管理、人材育成など(主任や管理者向け)