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【講演】 |
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「多死時代におけるケアマネジメント ―訪問看護との協働を考える―」
冒頭、訪問看護制度を取り巻く現状として超高齢化・少子化社会を背景とした、2040年を見据えた社会保障の将来見通しは、団塊Jrが高齢者となる一方、医療福祉分野においては人材不足が深刻化していく、また新型コロナウイルス感染症の拡大で医療体制が逼迫し、在宅療養者が増えたことから訪問看護が最後の砦と言われるようになっている。 今後の地域包括ケアシステムの推進・多職種在宅医療を看護師が担う時代もやってくるのではないか。まずは自分の所在する地域の現状と5年後、10年後どうなっていくのかを考えることが大切であるというお話があり、介護支援専門員としても地域の今後をしっかり見つめることは必要であると感じた。
また、訪問看護の視点から「ヘルパーさんから、訪問して欲しいという依頼があるが、大事なのは、本人がどう思っているのか、本人や家族が必要としているのかが大事である」という話があり、繰り返し言葉にされていた「本人はどう思うのか、どう思っているのか」ということは、「利用者本位」「利用者の尊厳を守る」という介護支援専門員の使命を再認識できた。
最後に先生からケアマネジャーにおけるケアマネジメントの質について@介護サービスを検討する際に常に根拠が明確であることAまずは、本人の尊厳が守られ、常に本人と同じ目線で生活を支えることができることB医療・介護・地域の皆さんと利用者を支える仕組みづくりが可能なことを挙げられた。「本人はどう思っているのか」を問うことを忘れずに今後も研鑽を積んでいきたい。 |
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【事例発表】 |
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<東区> |
規範意識の乏しい利用者に対して、専門的視点を持つボランティアや地域との協働で行動変容を促し、地域で暮らし続けることを支援した事例
ニックス東居宅介護支援事業所 竹本 泰文 氏 |
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<南区> |
介護支援専門員の業務の枠を超えた支援
有限会社まごころネット居宅介護支援事業所 三上 淳一 氏 |
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<西区> |
経験1年目の介護支援専門員がチームの力を借りて、その人の強みを生かしたケアマネジメントを試みた事例
おれんじ居宅介護支援事業所 武田 雅博 氏 |
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<安佐南区> |
近所の家から新聞を持って帰ることで、在宅生活をおくることに難しさを感じ、対応に苦慮した認知症高齢者への支援 ながお居宅介護支援事業所 山本 千尋 氏 |
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<安佐北区> |
「転居したい!」夫婦の想いに寄り添いながらも自ら葛藤し、多職種連携で
新たな在宅生活を実現させた事例
にのみや居宅介護支援事業所 月森 慎吾 氏 |
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<安芸区> |
入退院の支援を重ねることで、連携の大切さを実感した事例
サンキ・ウエルビィ介護センター安芸 三浦 宏文 氏 |
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<佐伯区> |
再々一人で外に出かけ、行方が分からなくなるA氏、家族への支援事例
まつむら居宅介護支援事業所 妹尾 基成 氏 |
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<中区> |
介護に邁進する家族の支援 〜両親が死んだら生きていけない〜
介護相談室えんじぇるず 山根 延美 氏 |
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【事例発表会総評】 |
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規範意識が乏しく、近所とのトラブルが絶えない利用者に対し、臨床心理士等の専門知識のあるボランティアを巻き込み本人の行動変容を促した事例、独居の認知症高齢者が地域で暮らす上での支援の困難さを考えさせられた事例等、地域での連携の在り方について問われたり、マネジメントのヒントとなる発表があった。
また、本人の暮らしを支えながらも、介護支援専門員としてどこまで介入すべきか悩みながらも本人の思いに寄り添い新たな在宅生活を実現させた事例や、入退院を繰り返していくうちに、支援の輪が広がり、サービス事業所からの連携が進み本人の生活が変化していった事例など、近年の利用者を取り巻く課題に即した発表であり、共感したり、自身のケアマネジメントに生かせる内容であった。
高砂先生の総評では、様々な発表会があったが、介護支援専門員が時間をかけて支援していることがよくわかることや生活上の課題はそう簡単に解決しないことから、いかに連携をしながらケアマネジメントの実践をされているかがよくわかると評価をいただいた。
また、事例発表会が22回目の開催であることを高く評価され、日ごろは支援する立場の介護支援専門員がこの発表会では多方面からの支援を受けることができる機会として大切にしていくことを話していただき、今後もこのような学びの機会を大切にしていきたいと思った。 |