○概要
介護保険制度は、2000年の制度創設以来24年を経過し、65歳以上被保険者数が約1.7倍に増加するなかで、サービス利用者数は約3.5倍に増加しています。この制度は施行以来、定期的に見直しが行われてきました。2025年には人口数が多い団塊世代が後期高齢者となるため、この度の制度改定は特に重要なものになってきます。諏訪林様からは、介護保険を取り巻く状況、令和5年介護保険法改正、令和6年度介護報酬改定についてお話を頂きました。
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○令和5年度介護保険法改正について
令和5年介護保険法改正は、「介護情報基盤の整備」「介護サービス事業者の財務状況等の見える化」「介護サービス事業所等における生産性の向上に資する取組に係る努力義務」「看護小規模多機能型居宅介護のサービス内容の明確化」「地域包括支援センターの体制整備等」の5つが主なものです。自治体・介護事業者などからの分散している介護情報などを収集・整備して、本人の確認・同意の下、必要な情報を介護事業所・医療機関などに利用・提供していくことを目的としています。また、地域包括支援センターの負担を軽減するため、要支援者への介護予防支援は、市町村からの指定を受けた居宅介護支援事業所でも実施できることになりました。 |
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○令和6年度介護報酬改定について
令和6年度介護報酬改定は、「地域包括ケアシステムの深化・推進」「自立支援・重度化防止に向けた対応」「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」「制度の安定性・持続可能性の確保」を基本的な視点として実施されました。具体的には質の高い公正中立なケアマネジメント、地域の実情に応じた柔軟な取り組み、認知症の対応力向上、質が高く効率的な介護サービス提供の促進が求められています。特に医療・介護の有機的な連携、介護職の処遇改善に力を入れています。LIFE(科学的介護情報システム)、医療介護連携ソフトなどICTを利用した取組みは少しずつ拡がってきていますが、それは十分なものとはいえません。ICTのさらなる活用、多職種間での顔がみえる関係性、有機的な連携をしっかり意識して良好なコミュニケーションをはかることが求められます。 |
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○感想
複雑な改定に戸惑う方も多いと思いますが、制度がなぜ変わってきているか、報酬がどうして変わったのかをしっかり理解することが大切であると改めて思いました。また、高齢者の増加、居宅介護支援専門員の減少などからこれまでの固定観念・常識を見直していく必要もあると思います。今ある資源を効率的に利用して、医療・介護の連携のため多職種間のスムーズなコミュニケーションに注力することが、地域の「あんしん」につながるのではないでしょうか。
諏訪林様の大変丁寧で分かりやすいご説明で、私たちの理解も深まりました。引き続き、現場のニーズを考え、介護支援事業者研修会を行っていきたいと思います。 |