(研修会報告)
第2回居宅介護支援事業者研修会
日時 令和6年3月21日(木)14:30〜16:10
開催方法 オンライン開催
参加者 358名
講演 「令和6年度介護報酬改定について」
講師 厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課
人材研修係長 諏訪林 智 氏
 
○概要

 介護保険制度は、2000年の制度創設以来24年を経過し、65歳以上被保険者数が約1.7倍に増加するなかで、サービス利用者数は約3.5倍に増加しています。この制度は施行以来、定期的に見直しが行われてきました。2025年には人口数が多い団塊世代が後期高齢者となるため、この度の制度改定は特に重要なものになってきます。諏訪林様からは、介護保険を取り巻く状況、令和5年介護保険法改正、令和6年度介護報酬改定についてお話を頂きました。

○令和5年度介護保険法改正について

 令和5年介護保険法改正は、「介護情報基盤の整備」「介護サービス事業者の財務状況等の見える化」「介護サービス事業所等における生産性の向上に資する取組に係る努力義務」「看護小規模多機能型居宅介護のサービス内容の明確化」「地域包括支援センターの体制整備等」の5つが主なものです。自治体・介護事業者などからの分散している介護情報などを収集・整備して、本人の確認・同意の下、必要な情報を介護事業所・医療機関などに利用・提供していくことを目的としています。また、地域包括支援センターの負担を軽減するため、要支援者への介護予防支援は、市町村からの指定を受けた居宅介護支援事業所でも実施できることになりました。

○令和6年度介護報酬改定について

 令和6年度介護報酬改定は、「地域包括ケアシステムの深化・推進」「自立支援・重度化防止に向けた対応」「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」「制度の安定性・持続可能性の確保」を基本的な視点として実施されました。具体的には質の高い公正中立なケアマネジメント、地域の実情に応じた柔軟な取り組み、認知症の対応力向上、質が高く効率的な介護サービス提供の促進が求められています。特に医療・介護の有機的な連携、介護職の処遇改善に力を入れています。LIFE(科学的介護情報システム)、医療介護連携ソフトなどICTを利用した取組みは少しずつ拡がってきていますが、それは十分なものとはいえません。ICTのさらなる活用、多職種間での顔がみえる関係性、有機的な連携をしっかり意識して良好なコミュニケーションをはかることが求められます。

○感想

 複雑な改定に戸惑う方も多いと思いますが、制度がなぜ変わってきているか、報酬がどうして変わったのかをしっかり理解することが大切であると改めて思いました。また、高齢者の増加、居宅介護支援専門員の減少などからこれまでの固定観念・常識を見直していく必要もあると思います。今ある資源を効率的に利用して、医療・介護の連携のため多職種間のスムーズなコミュニケーションに注力することが、地域の「あんしん」につながるのではないでしょうか。
  諏訪林様の大変丁寧で分かりやすいご説明で、私たちの理解も深まりました。引き続き、現場のニーズを考え、介護支援事業者研修会を行っていきたいと思います。

(アンケートまとめ)
【意見】
  • ケアマネの仕事量は年々増えている。現場を見てほしい。だが給与面は介護職と逆転している。やる気を持って仕事を続けたい。
  • どんな研修でも可能な限り参加したいと思います。ありがとうございました。
    今回の報酬改定について、根拠も含め説明があり理解しやすかった。事前質問についても分かりやすく回答があり良かった。事業所の代表として参加したため、情報共有し事業所として理解を深めたい。
  • 今回の介護改正の内容が理解できた、Q&Aの内容が具体的で分かりやすかった。
  • ケアマネに対しての負担が非常に大きくなっている中、報酬が変わらないことで意欲低下がある。
  • 文字だけでは解釈しづらい言葉も説明していただけたことにより、少しは理解ができたと感じる。
  • 研修や会議の時間をライブ配信ではなく、いつでも視聴できるようにしてほしいです。
【今後、参加してみたいと思われる研修のテーマや、その他ご意見等】
  • 適切なケアマネジメント手法による実践力
  • ヤングケアラー・生活困窮者・難病患者等の支援・連携
  • F-SOAIP(生活支援記録法)
  • 障害制度関係、介護予防ケアマネジメント、難病、医療保険制度についての研修
  • 対象者家族に障害(精神)がある方へ世帯全体への支援等、身寄りの無い方の支援
  • 障がい者支援と8050、虐待に対する行政、包括と具体的な連携について。居宅が包括機能を担うにあたり、連携能力がさらに問われます。ケアマネジャーの質を具体的にはかる指標も必要と思います。そのような、研修で学びたいです
  • 認知症、高齢者虐待等必須の研修・拘束の実態
  • 看取りの支援についての研修、ACPについて
  • 医療機関の連携の実際について
  • BCPの実施内容 医療との連携
  • アンガーマネジメント研修等
  • 福祉用具が貸与か購入の選択性になるので学びたいと感じました
  • 訪問や面会、支援を拒まれる方等の支援や関係構築、介護保険上必要な一連手続きの考え方等
  • ハラスメント対策、居宅介護支援・介護予防支援でのICT活用事例など
  • テレビ電話等通信機器を使用してのモニタリング、サービス担当者会議の実践研修
  • 成年後見関連
  • スーパービジョン・コーチング
  • ケアマネの仕事、業務の改善、軽減の方法
  • 重要事項説明・運営規定の作り方
  • 介護報酬改正で実際に始まってみてからの質疑応答
  • 広島市の担当者による、報酬改定についての講演
  • 入院時情報連携加算について
  • トリプル改定の概要理解(介護保険の改定内容から医療や障害福祉など広く)
  • 実地指導
  • 予防ケアプランのポイント
  • 指定介護予防事業所の指定申請
  • 居宅介護支援事業者にかかる、運営で気をつける点
  • 特定事業所加算要件に追加された制度外研修・ターミナルマネジメント加算、特定事業所医療介護連携加算
  • (主任)ケアマネ更新研修について、課題などをケアマネから吸い上げて改善点などを説明して欲しい